わかりやすい人工呼吸器 基礎の基礎2 (レジデント向け)
人工呼吸器の設定の仕方
まず、患者の肺が硬いかやわらかいか(肺に問題があるかどうか)を直感で判断し、VCVにするかPCVにするかを決めます。
肺が柔らかそうなとき、または、肺に問題はなさそうなとき(もっと学術的に言えばPIP < 32 cmH2Oで換気できそうなとき)
VCVを選びます。→ VT を設定します。
そのボリュームで胸郭が適切に動くことを視認します。
通常、自発呼吸をassistするAssistモードにします。VCVベースのAssistモードは、A/C(assist control)、VC assist、VCV、A/CMV、IPPV、CPPVなどと呼ばれます。
経過が良ければ、VCVベースのAssistモードから、VCVベースのSIMVモードへとweaningします。
VCVベースのSIMVモードは古典的なSIMVです。
グラフィック画面では、pPlat( = 肺胞圧)をみて、気道閉塞の有無を評価しましょう。肺胞圧と気道圧をわけて考えましょう。
肺が硬そうなとき、または、肺に問題がありそうなとき(もっと学術的に言えば換気にPIP > 32 cmH2Oが必要そうなとき)
PCVを選びます。→ PIPを設定します。
そのプレッシャーで胸郭が適切に動くことを視認します。
通常、自発呼吸をassistするAssistモードにします。PCVベースのAssistモードは、PCV、PC-AC、BiPAP assistなどとよばれます。
経過が良ければ、PCVベースのAssistモードから、PCVベースのSIMVモードへweaingします。
PCVベースのSIMVモードは、いわゆるBiPAPです(自発呼吸と同調しないBIPAPとは異なります。BiPAPは自発呼吸に同調します)。古典的にはPCV+とも言われます。
グラフィック画面では、Flow-volume curveをみて、気道閉塞の有無を評価しましょう。PCVモードでは吸気圧 ≒ pPlat( = 肺胞圧)です。
PEEP、pressure supportは、設定できる機種ならば、ほぼほぼ必ず設定するつもりで。
人工呼吸器だけで呼吸不全が改善しなければ、NO試して、JetかHFOも試して、それでもだめなら?
→ ECMO
です。
呼吸状態が改善すればいよいよ抜管ですが、
最近は、SIMVモードにWeaningするのではなく、Assistモードのままサポート条件を緩め、一気にSBTを介して抜管することも。
もっと呼吸管理をきわめたい?
酸素、二酸化炭素の値だけではなく、分時換気量(minute ventilation)を評価できるようになれば一人前です!?
PRVC: autoflow付きのVCV
APRV: BiPAPの進化版
MMVV: SIMVとCPAP、自動切換えモード
サイクルとは?
吸気を終了させる仕組みです。
ある時間で吸気を終了 → Time cycle
ある容量で吸気を終了 → Volume cycle
ある圧で吸気を終了 → Pressure cycle
です。むかしはVCVはVolume cycleで吸気を終了、PCVはPressure cycleで吸気を終了・・・なんて言われていました。ところが今の呼吸器にVolume cycleとかPressure cycleとかありません。
VCVもPCVもTime cycleです。
VCV: time cycled, constant flow (volume/sec), volume controlled, volume limited, volume guaranteed. The pressure changes.
PCV: time cycled, constant pressure, pressure controlled, pressure limited, pressure guaranteed. The flow (volume/sec) changes.
一定時間ごと(タイムサイクル)に強制的に換気することを調節換気(control)といい、VCVベースの調節換気(control)とPCVベースの調節換気(control)があります。
自発呼吸をトリガーして強制的に換気することを補助換気(assist)といい、VCVベースの補助換気(assist)とPCVベースの補助換気(assist)があります。
調節換気(control)と補助換気(assist)を、どちらも強制換気(MV)とよびます。
通常、調節換気(control)と補助換気(assist)は、両方組み合わせて使います。その組み合わせ方によって、Assistモード(持続的MV:CMV)となったり、SIMVモード(間欠的MV:IMV)になったりします。
AssistモードやSIMVモードのやさしい解説はこちらを参照ください。
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