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【図解】血液浄化法の種類・モード:HD、HF、ECUM、HDF

 

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除水のある血液透析」を血液濾過透析とよんでいいでしょうか?

 

この答えがわかる人はこの記事を読む必要はありません。

でも、わからない人はこの記事から学ぶことがありそうです。

 

除水のメカニズムは濾過です。であれば、除水(濾過)のある血液透析=血液濾過透析と言えるのでは?

ダメなんです。

どうしてダメなのでしょう?

 

拡散って?濾過って?

血液透析(HD)と血液ろ過(HF)の違いを

血液透析(HD) = 拡散(diffusion)による溶質除去(血液浄化)

血液ろ過(HF) = 濾過(filtration)による溶質除去(血液浄化)

と、理解している人は多いと思います。

教科書にもそんな風に書いてありますものね。

しかし、その理解ではいつまでたっても血液透析+除水と血液濾過透析の違いを説明できません。

本記事ではその違いをわかりやすく説明します。

 

なお、本記事では

拡散(diffusion)による溶質除去(血液浄化)を、Dialysis(透析)

濾過(filtration)による溶質除去(血液浄化)を、Convection

と記述しています。

Convectionには適切な日本語訳がありません。

Convectionを「濾過」と表現しているテキストもありますが、濾過による溶質除去を「濾過」というのは混乱の元です。また、濾過による溶質除去を「透析」とよんでいるテキストもありますが、それこそDialysisとConvectionの違いを無視しているようなものです。

本記事では、あえてConvectionに特別な訳語をあてず、Convectionとして解説します。

今は何のこと言ってるかわからなくて大丈夫です(後から読み返してください)。

では本題に入ります。

 

1.拡散を利用する血液透析(HD:Hemodialysis)

血液透析(HD: Hemodialysis)とは?

透析器(ダイアライザー)を使用し、拡散(diffusion)のメカニズムを利用した血液浄化、すなわち透析(Dialysis)をおこなうことです。

皆さんが理解している通りです。

しかしその理解では血液透析(HD: Hemodialysis)の本質がみえてきません。

血液透析(HD: Hemodialysis)の本質とは何でしょう?

答えを先に言います。

透析回路が密閉されていることなんです。

これをきいて「あ~何だ、そういうことか…」と、わかった人は、ここから先、読む必要はありません。

「はぁ?何言ってんの?」と思った方はこの記事から学ぶことがありそうです。

なお、このように解説している記事は成書でもみたことありませんので、本記事と同じような解説をしている解説は100%本記事のパクリです笑 。みつけたらご連絡ください。

話を元に戻します。

密閉回路では、透析器に「流入」する量と「流出」する量が完全に一致します・・・これが血液透析(HD: Hemodialysis)です。

密閉回路に透析液が100流入すると必ず100の透析液が流出します。

密閉回路に血液が100流入すると必ず100の血液が流出します。

「いやいやちょっと待て、透析では除水もあるじゃん、廃液のほうが流入液より多いじゃん」という声が聞こえてきそうですが、違うんです。そうじゃないです。落ち着いていきましょう。

しっかり説明します。

まず・・・

下図ダイアグラムをご覧ください。血液透析(HD: Hemodialysis)のようすをデフォルメして漫画化したものです。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hd1_20211022182101.png

(血液透析=100、血液濾過=0、除水=0)

赤が血液、青が透析液の流れを示します(ほんとうは血液と透析液は互いに逆向きに流れるのですが、ここでは後々の図をわかりやすくするために同じ方向にしています)。

数字は水分(液体の量)の収支をあらわしています。

100入ってきた血液は100出ていきます。

100で入ってきた透析液も100出ていきます。

つまり水分の収支はゼロ。

これが血液透析(HD: Hemodialysis)なんです。

密閉された特殊な仕組みによって、流入量と流出量が必ず等しくなります。

いいですか?

血液透析(HD: Hemodialysis)の第一の目的は?

除水?

ちがいます。よね?

溶質の除去(Dialysis)です。

水分収支には影響を与えずに老廃物を除去するーーー

これが血液透析(HD: Hemodialysis)の基本です。

血液透析(HD: Hemodialysis)は、できるだけ生体ボリュームの水分収支に影響を与えないよう、安全を第一に考えなければなりません。

このように血液透析(HD: Hemodialysis)とは「密閉回路」を用いた透析であって、医学というより工学にもとづいた呼び名です。臨床工学士にはあたりまえの話が医者にはわからないということがあり得ます。

(メーカーによっては回路に流入するポンプと回路から流出するポンプの速度を別々に設定できるシステム(開放システム)もありますが、その場合は、流入と流出の速度を一致させた状態が血液透析です)

さて、このように血液透析(HD: Hemodialysis)では水の移動はありませんが、溶質の移動(Dialysis)はおこりえます。

そのメカニズムが拡散(diffusion)です。

上の図では、血液システム(赤)と透析システム(青)の間に何のやりとりもないように描かれていますが、何も起こっていないのではありません。

水分収支はゼロでも、溶質は移動します。

老廃物(BUNなど小さい分子)はどんどん血液から透析液に移動します。しっかりDialysisは怒っているのです!

拡散(diffusion)のメカニズムを支えるのが、透析器(ダイアライザー)です。

回路に入る血液の晶質浸透圧に比べ、回路から出ていく血液の晶質浸透圧はかなり低くなります。

血液透析(HD: Hemodialysis)では、血液の晶質浸透圧が急激に下がるため、その結果、血管内の水分が血管外へ、間質へとシフトします。

その結果、膠質浸透圧やヘマトクリット、粘性はあがり、(除水しなくても)血圧低下をきたします。

このように血液透析(HD: Hemodialysis)では、拡散(diffusion)による溶質の除去、透析(Dialysis)がおこなわれます。

つまり

血液透析(HD: Hemodialysis)がやっていることは、拡散(diffusion)による血液浄化、透析(Dialysis)です。

兎にも角にも、血液透析(HD: Hemodialysis)の本質は、密閉回路を用いた水分収支ゼロのモードである、と理解しましょう。

 

💡 HD+除水

実際の臨床の現場では、だいたい血液透析(HD: Hemodialysis)に除水を追加します。

密閉システムにおいては、透析ポンプをいくらいじっても廃液量を流入液より増やすことはできません。透析ポンプは、廃液量=流入量となるように作動します。

では、どうやって除水するのでしょう?

除水、すなわち、廃液量>流入量とするためには、透析ポンプのほかに、別個、除水ポンプを回さなければなりません。

透析ポンプの他に除水ポンプを回すと、透析液の流入量より廃液量の方が多くなります。

 

以下に、「血液透析(HD: Hemodialysis)+ 除水」のイメージを示します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hd2_20211022182101.png

(血液透析=100、血液濾過=0、除水=10)

除水ポンプが追加されました。

点線部分が除水です。

除水とは、血球成分以外の「血漿」を取り除くという意味です。

除水ポンプによって、強引に

廃液量>流入量

とするのが除水です。

血液透析(HD: Hemodialysis)+ 除水

これが、よくある「通常の透析」です。

逆に言うと「通常の透析」から除水を取り除くと、血液透析(HD: Hemodialysis)となります。

除水のない透析が透析?なんて…少し奇妙な感じがするかもしれませんが、実は除水のない透析が本来の血液透析(HD: Hemodialysis)の姿なんです。

さて。

この除水のメカニズムは濾過(filtration)です。

透析ポンプのほかに、別途、除水ポンプを回すと、透析器(ダイアライザー)内に陰圧(静水圧)がかかり、血液から水分(等張液)が除去されます。

除水では、濾過(filtration)によって水だけでなく、老廃物(BUNのように小さい分子やβ2MGなど大きい分子)も取り除かれます。

濾過(filtration)による溶質除去をConvectionといいます(適切な日本語訳がありません)。

しかし、除水(=濾過)にともなう小さな分子の除去(Convection)は、血液透析(HD: Hemodialysis)による溶質除去、透析(Dialysis)に比べれるとほぼ無視できる量です。

そもそも大きな分子は透析器(ダイアライザー)を、あまり通過できないと思われます。

では、除水は血液濾過(HF:Hemofiltration)とよべるのでしょうか?

いいえ。

除水のメカニズムは濾過(filtration)なんですが、定義上、これを血液濾過(HF:Hemofiltration)と呼ぶことはできません。血液濾過(HF:Hemofiltration)には、きちんとした定義があります。

したがって、血液透析(HD)に除水を併用しても、それは血液濾過透析(HDF)にはなりません。

では、血液濾過(HF:Hemofiltration)の定義とは?

それを以下に説明します。

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2.濾過を利用する血液ろ過(HF:Hemofiltration)

血液濾過(HF:Hemofiltration)では、濾過器(ヘモフィルター)を用い、濾過(filtration)による血液浄化(Convection)を行います。

メカニズム的にはそうです。

しかし理解としては、それでは不十分です。

血液濾過(HF:Hemofiltration)においては透析ポンプは停止しています。かわりに濾液ポンプが回っています。

濾液ポンプにより濾過器(ヘモフィルター)内に陰圧がかかると、濾過(filtration)によって血液から等張液が除去されます。

一見、除水ポンプと同じです。

ところが。

血液濾過(HF:Hemofiltration)においては、除去された水分(等張液)量と全く同じ量の等張液(電解質液)が補液ポンプによって補液されます。

この補液。これが除水とは決定的に違う点です。

血液濾過(HF:Hemofiltration)においては、補液と濾液の量が、厳密なバランス制御システムによってコントロールされており、除去された水分量と補液量が必ずピタリと一致します。

この精密なバランス制御システム(濾液ポンプ・補液ポンプ)が作動してるモードを血液濾過(HF:Hemofiltration)といいます。

つまり、血液濾過(HF:Hemofiltration)では、原則、水分を除去できません。

くりかえします。

バランス制御システム(濾液ポンプ・補液ポンプ)を利用した血液浄化を血液濾過(HF:Hemofiltration)といいます。

つまり、血液濾過(HF:Hemofiltration)は、原理というより仕組みに基づいた臨床工学的な呼び方です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hf1_20211022182101.png

(血液透析=0、血液濾過=30、除水=0)

濾過(filtration)された水分は、それに含まれる溶質とともに除去されることになります。

そして除去された水分と同量の水分が補液されます。

したがって、血液量の収支に変化はありません。

回路に100入ってきた血液は100出ていきます。

このように、血液濾過(HF:Hemofiltration)では、血流の流入量と流出量に差は生じませんが、溶質の除去(Convection)は発生します。

そのメカニズムは濾過(filtration)です。

濾過(filtration)による溶質除去をConvectionといいます(Convectionには適切な日本語訳がありません。これを濾過と表現しているテキストはありますが、濾過による溶質除去を濾過とよぶのは本当に馬鹿げてます)。

Convectionのメカニズムを支えるのが濾過器(ヘモフィルター)です。

血液濾過(HF:Hemofiltration)では、透析ポンプが静止しているため、拡散(diffusion)による老廃物(おもにBUNなど小さい分子)の除去=透析(Dialysis)はありません。

一方、血液濾過(HF:Hemofiltration)では濾過(filtration)にともなう溶質除去(Convection)によって、BUNなど小さい分子から、β2MGなど大きい分子まで、まんべんなく取り除かれます。

また、血液濾過(HF:Hemofiltration)による補液は等張液でなされるため、回路から出ていく血液の晶質浸透圧は低張とならず、血圧は下がりにくいとされています。アルブミンなど濾過されない分子の濃度も、補液によって保たれます。

しかし、等張液の補液によって、β2MGなど濾過される大きい分子が担う血液の膠質浸透圧は希釈効果で下がります。その結果として、血液ろ過開始直後に血管内から細胞外液への水分シフト(イニシャルドロップ)はおこりやすいとも言われています。

血液濾過(HF:Hemofiltration)の溶質除去(Convection)にはおのずと限界があります。濾過(filtration)は血流量に依存し、血液量には限界があるためです。

また、血液透析(HD: Hemodialysis)で拡散(diffusion)によって取り除かれる老廃物(BUNなど小さい分子)の量を比較すると、BUNなど小さい分子の除去量(クリアランス)は、血液透析(HD: Hemodialysis)に劣ります。

また、あたりまえですが濾液ポンプによって補液される等張液(電解質液)は清潔無菌でなければなりません(直接、血液中に入るため)。

血液濾過(HF:Hemofiltration) ⇒ 濾過(filtration)による血液浄化(Convection)

です。しかし

濾過(filtration)による血液浄化(Convection) ⇒ 血液濾過(HF:Hemofiltration)

と考えると、他モードとの境界があいまいになります。

精密なバランス制御システム(濾液ポンプ・補液ポンプ)を用いたモードが血液濾過(HF:Hemofiltration)である、と考えましょう。

 

💡 HF+除水

血液濾過(HF:Hemofiltration)に水分除去を追加したい場合には、濾液ポンプとは別に、下図のように除水ポンプを回します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hf2_20211022182101.png

(血液透析=0、血液濾過=30、除水=10)

この除水のメカニズムは濾過(filtration)です。

しかし、除水を血液濾過(HF:Hemofiltration)とよぶことはできません。

精密なバランス制御システム(濾液ポンプ・補液ポンプ)とは無関係だからです。

除水ポンプは濾液ポンプとも補液ポンプとリンクしていません(除水が目的ですからあたりまえといえば、あたりまえの話です)。

 

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3.ECUM

除水ポンプのみを回した透析をECUMといいます。透析器(ダイアライザー)内に陰圧がかかり、血液が濾過され等張液が除去されます。

透析ポンプはまわっていません。

透析スタッフの中には「通常の透析」中に透析ポンプをとめたものがECUM(除水)、すなわち

「通常の透析」 ー 透析ポンプ = ECUM

のようにイメージしている人が多いと思います。それでOKです。

ちなみに人工心肺装置やECMOの世界では、

除水ポンプ = ECUM

とストレートに考える方がふつうです。

「通常の透析」においては "除水あり" がふつうなので

「通常の透析」= 透析ポンプ + 除水ポンプ

と理解している透析スタッフは多いと思います。

結局、

「通常の透析」 ー 透析ポンプ = 除水ポンプ = ECUM

なので、同じことです。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/ecum_20211025030601.png

(血液透析=0、血液濾過=0、除水=10)

ECUMでは水分が溶質とともに除去されます(Convection)。

ECUMのメカニズムは濾過(filtration)ですが、バランス制御システム(濾液ポンプ・補液ポンプ)が作動していないので、血液濾過(HF:Hemofiltration)ではありません。

透析ポンプが回っていないのですから、血液透析(HD: Hemodialysis)でもありません。

ECUMの目的は溶質除去(Dialysis、Convection)ではなく、濾過(filtration)による水分の除去です。

ECUMでは、水分は等張液として除去されるため血液の浸透圧は下がらず、透析中の体内での水分シフト(血管内から血管外へ)はおこらず、血圧低下がおこりにくいと言われています。

等張液の補液もないため、膠質浸透圧の低下もありません。

透析液が流れていないため、拡散(diffusion)による老廃物の除去(おもにBUNなど小さい分子のみの除去)はありません。

理論上、濾過(filtration)にともなう溶質移動(Convection)によって老廃物(BUNのように小さい分子やβ2MGなど大きい分子)が取り除かれますが、血液透析(HD: Hemodialysis)中に拡散(diffusion)によって取り除かれる老廃物(BUNなど小さい分子)の量にくらべると無視できるほどの量です。

なので「除水」と呼ばれます。

そもそも溶質除去はECUMの目的ではありません。

ECUMとは除水そのものであり、除水オフのECUMなどと言うオプションはありません。

 

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4.拡散と濾過を併用した血液ろ過透析(HDF:Hemodiafiltration)

透析器(ヘモダイアフィルター)を用いた血液浄化です。

透析ポンプが回っていますが、透析ポンプは透析液の流入量と流出量が等しくなるように精密にコントロールされています。

濾液ポンプも補液ポンプとバランス制御システムでコントロールされており、濾過量に等しい等張液の補液がおこなわれます。

拡散と濾過を組み合わせた・・・というより、

透析ポンプと濾液ポンプの両方が作動しているモードだと考えるべきでしょう。

HDFとは、透析ポンプと濾液ポンプの両方が回っている透析をいい、原理的というより実践的な名称です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hdf1_20211022182101.png

(血液透析=100、血液濾過=30、除水=0)

HDFにおいても、(除水ポンプを回さない限り)水分の除去はおこりません。

しかし、拡散(diffusion)による老廃物(おもにBUNなど小さい分子のみ)の除去(Dialysis)と同時に、濾過(filtration)による老廃物(BUNなど小さい分子からβ2MGなど大きい分子)の除去(Convection)が行われます。

早い話、拡散(diffusion)と濾過(filtration)の両方のメカニズムで、溶質を除去できるのです(Dialysis + Convection)。

幅広い老廃物除去がHDFの強みです。

なお、濾液ポンプによって補液される等張液(電解質液)は、直接、血液中に入るため高度に清潔な専用製剤でなければなりません。

 

では、透析+除水は、HDFと呼べるでしょうか?

透析+除水では、拡散(diffusion)と濾過(filtration)が組み合わさっていますが、HDFとはよべません。

なぜ?

ここまで読んでいただいたみなさんにはその理由がしっかり理解できることと思います。

透析+除水では濾液と補液の精密なバランス制御システムが作動していません。

 

💡 HDF+除水

HDFに水分除去を追加したい場合は、下図のように除水ポンプを別個に回します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/hdf2_20211022182101.png

(血液透析=100、血液濾過=30、除水=10)

 

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5.オンラインHDF

透析ポンプで流入してきた透析液の一部分を透析透析器(ヘモダイアフィルター)の前でポンプを使って除去します。

すると完全閉鎖系である透析システムの性質上、必ず、血液側から同量の等張液が透析液側にもどってきます(濾過)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/hdf3.png

(血液透析=100、血液濾過=30、除水=0)

透析ポンプと濾液ポンプが回路の一部を共有しているため、少しわかりにくいモードです。

密閉回路により、回路に流入する透析液と回路から流出する透析液の量は一致します。

したがって血液透析(HD:Hemodialysis)であることに間違いありません。

また、回路に流入する透析液のうち、一部は補液として利用されていることに着目してください。

密閉回路の性質上、その補液と同じ量が濾過によって濾液として血液から透析液に戻ってきます。

濾液ポンプも補液ポンプもありませんが、この仕組みは、まさに補液と濾液の精密なバランス制御システムと言えます。

したがって血液濾過(HF:Hemofiltration)ともいえるのです。

回路に流入する透析液のうち、補液されずにフィルターに向かった部分が血液透析(HD: Hemodialysis)の量に相当します。

補液の量が血液濾過(HF:Hemofiltration)に相当します。

すると、このモードは実質的に透析ポンプと濾液・補液ポンプの組み合わせとまったく同じ、すなわちHDF(HDFモード)といえるのがわかると思います。

濾過(filtration)により血液から老廃物(BUNなど小さい分子からβ2MGなど大きい分子)が除去されます(Convection)。同時に透析ポンプも回っており、拡散(diffusion)による老廃物の除去(おもにBUNなど小さい分子のみの除去)もおこなわれます(Dialysis)。

オンラインHDFモードでは(除水ポンプを回さない限り)水分の除去はできません。

HDとHFをそれぞれを単独に行う場合と比較し、HDのデメリット(体内水分シフトによる透析中の血圧低下)とHFのデメリット(BUNなど小さい分子の除去が不十分)を互いに補い合うようなモードになっています。

なお、HDFでは透析液(HF用の高度に清潔な専用製剤ではなく基本的に水道水)を血液にいれるため、透析液を高度に無菌化する装置が必要になります。

(オンラインの意味:高度に清潔な専用製剤ではなく、透析液(基本的に水道水)を血液にいれること)

 

💡 オンラインHDF+除水

オンラインHDFに液体除去を追加したい場合は、下図のように除水ポンプを回します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/hdf4.png

(血液透析=100、血液濾過=30、除水=10)

図は少し複雑に見えますが、上記すべての解説を読まれた方には自明ですよね?

 


 

以上、モード(HD、HF、ECUM、HDFなど)の違いを図解してみました。

拡散(diffusion)や濾過(filtration)の原理はわかっているのに、血液浄化のモード(HD、HF、ECUM、HDFなど)との関連づけでモヤモヤしている人は案外多いと思います。その原因のひとつは、血液透析(HD: Hemodialysis)の本質(完全密閉系であり、透析液の流入と流出に差がないこと)と血液濾過(HF:Hemofiltration)の本質(濾液と補液が精密なバランス制御システムによって必ず同じ量になるように制御されていること)を理解していないことにあると思われます。モードの名称は、実は、実施されている血液浄化が拡散(diffusion)によるものか濾過(filtration)によるものかという医学的な現象というより、むしろ回っているポンプは何か?という工学的なものによって決まるのです。

なお、本記事は、あくまでもわかりやすさに重点をおき、いくつかの正確さを犠牲にしています。

たとえば、本文中の図は、透析液と血液を同じ方向に流れているかのように描きましたが、実際のシステムでは透析液と血液の走行は互いに逆方向です。また血液を流すための血液ポンプも省略しました。

本記事を読んで「なるほど!」と感じたら、拡散よろしくお願いします。少しでも迷える子羊たちを救えたら!と思っています。

また、理解をさらに正確なものとするためには成書にあたることをお勧めします。

でも、もしかしたら、あなたの理解の方が上かもしれません!

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