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【クイズ】酸素飽和度の問題(医学生向け)

 

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ICUで学生さんから面白い質問を受けました。

質問:PaO2 30 mmHg(SaO2 60%)の血液Aと、PaO2 500 mmHg(SaO2 100%)の血液Bを同量混ぜ合わせると、最終的な PaO2 はどのくらいになるしょうか?ただし、血液Aと血液Bのヘモグロビン濃度は同じとし、混合によっても酸素の総量はかわらないとします。

(A) 約 265 mmHg

(B) 約 60 mmHg

 

解説:血液の同量を混ぜ合わせるのですから、血液Aと血液Bに含まれる「酸素の量」を足して2で割るとよいのです。

ただし「酸素の量」とは何でしょう?

酸素分圧(PaO2)ではありません。

酸素飽和度(SaO2)でもありません。

酸素含有量(CaO2)です。

下図を参照ください。注目するのは赤で示した酸素含有量「oxygen content(CaO2)」の平均値です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/oxygen-content-quiz1_20211030022901.png

横軸(黒)で示した酸素分圧(PaO2)の平均値ではありません。

縦軸には青と赤がありますが、

青で示した酸素飽和度(SaO2)の平均値でもありません、

赤で示した酸素含有量(CaO2)の平均値です。

血液Aに含まれる酸素の量は、PaO2 30 mmHg に相当する酸素含有量(CaO2)です。

血液Bに含まれる酸素の量は、PaO2 500 mmHg に相当する酸素含有量(CaO2)です。

これらを合計し2で割ります。

得られた値が血液AとBを混合したものに含まれる酸素含有量(CaO2)です。

その酸素含有量(CaO2)に相当する PaO2 の値が答えです。

正解は、およそ 60 mmHg(SaO2 90%)です。

酸素分圧(PaO2)を足して2で割った値 PaO2 265 mmHg(SaO2 100%)ではないので注意しましょう。

しかし酸素含有量(CaO2)を求める計算式はめんどうです。

なので、緊急で急いでいる場合などでは酸素飽和度(SaO2)を使います。

酸素飽和度(SaO2)を足して2で割った SaO2 80%(PaO2 50 mmHg)は、酸素含有量(CaO2)のまぁましな近似になります。つまり酸素含有量(CaO2)がわからないときは、酸素飽和度(SaO2)を使って考えれば、当たらずとも遠からず、大きくはずすことはありません。

答え:(B) 約 60 mmHg

 

 

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