【クイズ】酸素飽和度の問題(医学生向け)
ICUで学生さんから面白い質問を受けました。
質問:PaO2 30 mmHg(SaO2 60%)の血液Aと、PaO2 500 mmHg(SaO2 100%)の血液Bを同量混ぜ合わせると、最終的な PaO2 はどのくらいになるしょうか?ただし、血液Aと血液Bのヘモグロビン濃度は同じとし、混合によっても酸素の総量はかわらないとします。
(A) 約 265 mmHg
(B) 約 60 mmHg
解説:血液の同量を混ぜ合わせるのですから、血液Aと血液Bに含まれる「酸素の量」を足して2で割るとよいのです。
ただし「酸素の量」とは何でしょう?
酸素分圧(PaO2)ではありません。
酸素飽和度(SaO2)でもありません。
酸素含有量(CaO2)です。
下図を参照ください。注目するのは赤で示した酸素含有量「oxygen content(CaO2)」の平均値です。
横軸(黒)で示した酸素分圧(PaO2)の平均値ではありません。
縦軸には青と赤がありますが、
青で示した酸素飽和度(SaO2)の平均値でもありません、
赤で示した酸素含有量(CaO2)の平均値です。
血液Aに含まれる酸素の量は、PaO2 30 mmHg に相当する酸素含有量(CaO2)です。
血液Bに含まれる酸素の量は、PaO2 500 mmHg に相当する酸素含有量(CaO2)です。
これらを合計し2で割ります。
得られた値が血液AとBを混合したものに含まれる酸素含有量(CaO2)です。
その酸素含有量(CaO2)に相当する PaO2 の値が答えです。
正解は、およそ 60 mmHg(SaO2 90%)です。
酸素分圧(PaO2)を足して2で割った値 PaO2 265 mmHg(SaO2 100%)ではないので注意しましょう。
しかし酸素含有量(CaO2)を求める計算式はめんどうです。
なので、緊急で急いでいる場合などでは酸素飽和度(SaO2)を使います。
酸素飽和度(SaO2)を足して2で割った SaO2 80%(PaO2 50 mmHg)は、酸素含有量(CaO2)のまぁましな近似になります。つまり酸素含有量(CaO2)がわからないときは、酸素飽和度(SaO2)を使って考えれば、当たらずとも遠からず、大きくはずすことはありません。
答え:(B) 約 60 mmHg
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