【医学】 Cardiac Tamponade 心タンポナーデを心室流入波形で一発鑑別! (自分用)
三尖弁と僧帽弁を通過する血流の呼吸性変動
SVCやIVCから右心房に流入する血流の呼吸性変動
"0"は、フローがないというより、フローが少ない〜減るという意味。
脱水がないにもかかわらず・・・
僧帽弁の血流変動が25%以上ならば(正常より大きければ)、TamponadeまたはConstrictive physiologyを考える。
三尖弁の血流変動が正常より大きければ Constrictive physiologyを考える。
正常でもみられる三尖弁の血流変動が少なくなっていれば Restrictive physiologyを考える。
これにSVC、IVCの血流変動を加味すれば、鑑別はもっと確かなものになる。
IVCサイズの変動が正常より少なければ、 Tamponade physiologyを考える。
IVCサイズの変動が正常より大きければ、Constrictive physiologyか、Restrictive physiologyを考える。
SVCフローに変動があれば、Constrictive physiologyか、Restrictive physiologyを考える。
SVCフローがコンスタントであれば、Tamponade physiologyか、Normalを考える。
というのが基本である。
以下、解説。
Normal physiology
RV filling pressure: no respiratory variation
MV filling pressure: no respiratory variation
Systemic venous return: increase in inspiration, decrease in expiration
Pulmonary venous return: no respiratory variation (slight decrease in inspiration, slight increase in expiration)
Trans-tricuspid flow: increase in inspiration, decrease in expiration
Trans-mitral flow: minimum respiratory variation (slight decrease in inspiration, slight increase in expiration)
SVC flow: no respiratory variation
IVC flow: increase in inspiration, decrease in expiration
三尖弁を通過する血流は呼吸性に変動する。
SVCから心臓へ流入する血流の変動は呼吸性に不変である。
つまり、三尖弁の血流変動は、おもにIVCからの血流変動に依存している。IVCは吸気時に心臓に流れ呼気時にながれず。
三尖弁の血流は、吸気時にはSVCとIVCの両方の血流に依存している。
三尖弁の血流は、呼気時にはおもにSVCからの血流のみに依存している。
ポイント:SVCから三尖弁に流れる血流は吸気時にも呼気時にも不変である。
つまり、SVCは吸気時にも呼気時も虚脱したままである。これをクスマール徴候"陰性"という。
吸気時にもSVCが虚脱したまま。これをクスマール徴候"陰性"という。
ちなみ、吸気時には、IVCから血液が心臓に向かって流れるためIVCが細くなる。
呼気時にはIVCから心臓への血流は減少するためIVCが太くなる。
正常では呼気時においても心臓からIVCへの逆流はない。
僧帽弁を通る血流は、呼吸の影響をほとんど受けない。
Tamponade physiology
RV filling pressure: no respiratory variation
MV filling pressure: no respiratory variation
Systemic venous return: increase in inspiration, decrease in expiration
Pulmonary venous return: decrease in inspiration, increase in expiration
Trans-tricuspid flow: increase in inspiration, decrease in expirion ---> However the extent of the change is within normal range.
Trans-mitral flow: decrease in inspiration, increase in expiration (pulsus paradoxus) ---> This change is secondary to the right side.
SVC flow: no respiratory variation
IVC flow: increase in inspiration, decrease in expiration
三尖弁を通過する血流は呼吸性に変動する。→正常と同じ。
この血流の変動はIVCからの血流の増減による。→IVCは吸気時に流れず呼気時に逆流する。なので拡大する(吸気時に小さくなるというより呼気時に大きくなる呼吸性変動)。
SVCから心臓への血流は吸気、呼気で変動しない。→正常と同じ。
ただし、三尖弁の血流は、吸気時にはおもにSVCのみの血流に依存し、呼気時には右心房からIVC(または肝静脈)へ血流が逆流する(逃げる)ことによって血流が減少する。→正常と違うところ。
吸気時にも呼気時にも、SVCから心臓に向かって血液が流れるためSVCが虚脱する。→正常と同じ。
つまり吸気時にも呼気時もSVCは虚脱したままである。これをクスマール徴候"陰性"という。
つまり、純粋なタンポナーデ病態ではクスマール徴候"陰性"である。
(Kussmaul徴候とは、吸気時に右房圧の上昇が著明となり、吸気時に頸静脈の怒張が顕著となること)
吸気時にIVCから心臓に流れる血流が減るため、吸気時にもIVCは小さくならず、呼気時にIVCはうっ血する(IVCの呼吸性変動が減る)。→正常と違うところ。
僧帽弁を通る血流が、右心室の影響を受けて大きく変動するようになる。→タンポナーデの本質。
臨床的に、心のう液貯留プラス僧帽弁を通過する血流が正常より大きく変動していればタンポナーデとよぶ。
これによって血圧が呼吸性に大きく変動するのが奇脈。
この僧帽弁の変動が、さらに右心室へ作用して三尖弁の血流が大きく変動するようになれば、それは、もはや純粋なタンポナーデではなく、Constrictive physiology。
Constrictive physiology
RV filling pressure: no respiratory variation
MV filling pressure: no respiratory variation
Systemic venous return: loss of respiratory variation @ SVC (+Kussmaul sign), increase in inspiration and decrease in expiraion @ IVC
Pulmonary venous return: decrease in inspiration, increase in expiration
Trans-tricuspid flow: increase in inspiration, decrease in expiration mainly from IVC flow ---> This change is secondary to the left side.
Trans-mitral flow: decrease in inspiration, increase in expiration (pulsus paradoxus) ---> This is the primary result of constriction.
SVC flow: decrease in inspiration, increase in expiration
IVC flow: increase in inspiration, decrease in expiration
三尖弁を通過する血流は呼吸性に変動するが、その変動が正常よりも大きい。→正常と違うところ。
SVCから心臓への血流は吸気、呼気で変動する。→正常と違うところ。
吸気時にSVCから心臓に血液が流れず、SVCが虚脱しない(クスマール徴候陽性)。→正常と違うところ。
吸気時には三尖弁の血流はおもにIVCからの血流のみに依存する。IVCが細くなる。→正常と違うところ。
(ただし心機能障害がすすみ水分貯留をきたしてしまうと、IVCは吸気時に細くならないので要注意)
呼気時にはSVCからIVCへの大きな逆流がみられる。
(ただし心機能障害がすすみ水分貯留をきたしてしまうと、IVCは拡大し呼気時であってももはや拡大しにくくなるので要注意)
IVCの血流が正常よりも呼吸性に大きく変動する。吸気時に細くなり、呼気時に逆流によって拡大する。
僧帽弁を通過する血流は、タンポナーデと同様に、呼吸性に大きく変動する。→正常と違うところ。
その理由はタンポナーデと異なり、右心室による影響ではない。
胸腔内圧が左心房に伝わらなくなるからである。
左心房に流入する血流が胸腔内圧によって変化するというのがConstrictive physiologyの本質であるが、僧帽弁を通る血流が呼吸性に大きく変動する様子はまるでタンポナーデと同じに見える。
臨床的には、三尖弁の血流が、正常よりも大きく変動するようすをConstrictive physiologyとよぶ。
(ただし心機能障害がすすみ水分貯留をきたしてしまうと、IVCは拡大し変動しなくなる)
Restrictive physiology
RV filling pressure: no respiratory variation
MV filling pressure: no respiratory variation
Systemic venous return: loss of respiratory variation (+Kussmaul sign)
Pulmonary venous return: no respiratory variation
Trans-tricuspid flow: minimum respiratory variation (slight decrease in inspiration, slightr increase in expiration)
Trans-mitral flow: no respiratory variation
There is no ventriculat interdependence.
三尖弁を通過する血流も僧帽弁を血流する血流も呼吸性に変動しない。
SVCから心臓への血流は吸気、呼気で変動する。→正常と違うところ。
吸気時にSVCから心臓に血液が流れず、SVCが虚脱しない(クスマール徴候陽性)。→正常と違うところ。
吸気時には三尖弁の血流はおもにIVCからの血流のみに依存しする。→正常と違うところ。
IVCの血流が正常よりも呼吸性に大きく変動する。吸気時に虚脱する。→正常と違うところ。
呼気時にはIVCから心臓への血流は減少する。心臓からIVCへの逆流はない。→正常と同じ。
呼気時には三尖弁の血流はおもにSVCからの血流のみに依存している。→正常と同じ。
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