How to read ECG 心電図の読み方 5 (自分用メモ・ミニレクチャー用)
3.垂直位心
I, aVL, V6にS波があります。
II, III, aVFにq波があります。
四肢誘導では、このような心電図になります。

I, aVLの S波が深い場合、右軸変位の心電図になることがわかるでしょうか。
実際に、心臓が垂直位になると、右軸変位をきたしやすくなります(下図参照)。
心臓が垂直位になると、時計方向回転(poor R progression, late transition)をおこしやすいからです。
その結果、次の図のようにQRSの終末電位が右方(下方)へむかい、右軸偏位をきたすのです。
(注:右軸変異が、I、aVLの深いQ波によるものである場合、胸部誘導は反時計回転になっていることが多いです)

心臓が時計方向回転をおこせば、次の図のように、V1とV6のS波が深めにでることに注目してください。

まとめると、垂直位心に時計回転を伴った心電図は次のようになります。

V1~V6にやたらS波がめだつ場合(Late transition, poor R wave progression)、V1とV6のS波は時計方向回転の結果に過ぎないかもしれません。
時計方向回転がある場合、V1とV6のS波は控えめに捉えましょう。
左室肥大の診断は、V1に深いS波よりも、V6のRを重視しましょう。
右室肥大の診断は、V6に深いS波よりも、V1のRを重視しましょう。
読む手順として、V6に、IやaVLと同じ波形、つまりS波を予測します。
予測したとおりV6にS波があれば、垂直位心に伴う時計方向回転を予測します。
V1に深いSがあれば時計方向回転をサポートします。
V6にS波があるのに、V1に深いSがなければ「なぜ?」と思うセンスが必要です。
V6にS波があるのに、V1に高いR波があれば有意所見であり、右室肥大のみならず、後壁梗塞、A型WPW症候群、右脚ブロックなどを積極的に疑います。
右軸偏位でありながら時計回転をともなわない場合、左脚後枝ヘミブロックを疑います。
左脚後枝ヘミブロックでは、かならずV6のq波かV1のr波のどちらか(正常中隔波)が認められます。
その他、垂直位心における下壁誘導(II, III, aVF)のQ波は正常所見です。
垂直位心における側壁誘導(I, aVL, V6)のQ波は有意所見です。
垂直位心になりやすい基礎疾患に肺高血圧や肺気腫があります。
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