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アメリカ式 処方箋の書き方 英語表記 2 (医学生・医師・看護師・薬剤師など、医療関係者向け)

 

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処方箋(英語表記)の具体例

(例1)

「アモキシシリン 800mg 2x po 10日分」

(1日800mgを二回に分けて内服10日分)

アメリカ式では次のようになります。

Rx Amoxicillin susp (400 mg/ 5ml)

Sig. 1 tsp po BID for 10 days
Disp. 4 oz

Refill ϕ

[解説] suspは液剤(suspension)。アメリカ式では、必ず剤形と濃度 (strength)を薬剤名のあとに示します。tspはTeaspoon = 5mlを意味します。ちなみにtbsまたはtbspと書くとTablespoon = 15mlです。

1回5ml(400mg)を1日2回(BID)、10日間の内服(po)ということです。

4 ozは4オンスの意味で、1 oz = 約30mlです。ϕはno(無し)の意味です。

Sig.のところに書かれた内容がいわゆる「用法」で、患者さんにわかりやすい言葉になってプリントアウトされ、ボトルや薬袋に貼られます。

 

(例2)

「アモキシシリン 1500mg 3x po 5日分」

(1日1500mgを3回に分けて内服5日分)

Rx Amoxicillin Tab (500mg tablet)

Sig. 1 tab po TID for 5 days

Disp. #20

Refill ϕ

[解説] 1回1錠(500 mg)、1日3回(TID)の内服で、5日間ということですね。

#はナンバー(数)とよみます。全部で15錠でいいはずですが、この例では全部で20錠処方していますので、5錠は予備ということになります。

 

(例3)

「アセトアミノフェン液剤 80mg 1x頓 発熱時37.5度以上」

(発熱時37.5度以上でアセトアミノフェン液剤80mgを投与)

Rx Acetaminophen Liq (160mg/5ml)

Sig. 2.5 ml po q4hr prn fever >37.5C. Do not exceed 4 doses in 24 hrs.

Disp. 15ml

Refill x1

[解説] 37.5度以上で4時間ごとに2.5 ml内服という意味です(2.5 mlを測る専用のスポイドがついています)。一日に4回までと制限しています。全体で15ml(1ボトル分)の処方になります。薬の空ボトルを薬局に持っていけば、医者にかからなくてもRefill(おかわり)が一回できます。

ちょっと話がそれますが、アメリカには以前、infant dropsというAcetaminophenの濃縮製剤(80 mg/0.8ml)がありましたが、2種類の濃度が存在するのは危険ということで160 mg/5mlに統一されました。

ちなみに、座薬の場合は下記のように書きます。

Rx Acetaminophen Supp (80mg each)

Sig. insert one supp PR q6h prn fever >37.5C. 

Disp. #10 

Refill x1

[解説] 37.5度以上で必要に応じて6時間ごとにアセトアミノフェン座薬1個を経直腸投与ということです。PRは経直腸。suppは座薬(suppository)。10回分の処方です。

 

日本でよくみる「朝晩」の指示はどう書くのでしょう?

アメリカでは「朝晩」という指示はなく、1日2回ならBIDですし、12時間毎に内服ならq 12hr(qはeveryという意味)と書きます。

「食後内服」とか「食前内服」を指示する場合は、略語は使わず--- ml  po after meals (とか、before meals、または 食中with meals、食間between meals)とふつうにスペルアウトするのがふつうです。食後、食前、食中をあらわす略語もありますが個人的にはみたことがありません。あまり使われていないと思います。

朝晩と指示することはないと書きましたが、朝晩で薬の量が違うときに


Sig.   2 tab po q AM

        1 tab po q PM 


というふうに書くことはよくあります。「朝2錠、夜1錠」の意味になります。

 

あくまで個人的な意見ですが、一日量式(日本式)よりも一回量式(アメリカ式)のほうが、患者さんにはわかりやすいと思います。

薬局や病院にとっては1日量式の方が在庫管理が簡単という話を聞いたことがありますが、最終的には、患者さんにとってより安全な書式が選ばれるべきではないでしょうか。

今後、世界規模でのボーダーレス化がすすむにつれ、日本人が海外で診療を受けたり、外国人が日本で診療を受けたりする機会が増えてくることと思います。

2種類以上の書式が混在するような状況は好ましくないでしょう。

医療の分野では、さまざまな規格が世界的に統一されていくと思います。処方箋の書式も早期に統一化されることを望みます。

 

(ログをみると大変たくさんの方が読んでおられるようでありがとうございます!できれば拡散よろしくお願いいたします)

 

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