アメリカ式 にきび治療の実際 1
アメリカで推奨されているにきび治療の実際を米国医師の立場から簡単にご紹介します。
ただし!
どの国のどんな治療においても同じことですが、薬物治療は、医師の診断と指示のもとに正しくおこなわなければ思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。
ここに紹介する薬剤をとりよせて、一般個人が見よう見まねでやらないようにしてください。いかなる結果にも責任を負いかねます。自己流で治療することは絶対にやめてください。
最近は、ようやく日本でもここで紹介している薬剤が手にはいるようになってきましたのでご自身がかかられている病院に問い合わせてみるとよいと思います。
朝、起床時
ステップ1.刺激性の少ない良質のクレンジングバー(gentle
soap-free, pH balanced cleanser)を使い、ぬるま湯で洗顔します。米国ではいわゆるSoap-freeがもてはやされていますが、別に石鹸成分が悪いというわけではなく、石鹸に付随する強いアルカリ性が問題とされています。中性であれば石鹸でも大丈夫です。
ステップ2.ベンゾイルパーオキサイド(2.5%)を軽くニキビの多い部分に塗布し、5分から10分間放置した後、洗い流します。ベンゾイルパーオキサイドは皮膚の角質品部にゆっくり浸透し、毛穴の奥で発生した活性酸素がアクネ菌の細胞壁を破壊します。この殺菌作用がメインの働きであり、ピーリング(表皮剥離)は副作用です。ベンゾイルパーオキサイド使用後は皮膚角質がダメージをうけやすくなっていますので、強くこすり過ぎないようにします。顔がカサカサになったり真っ赤になったりするようでは使い方を間違っています。皮膚が敏感になり、日焼けしやすくなるので直射日光をさけ、日中はサンスクリーンを使用します。 ベンゾイルパーオキサイドが接触した髪の毛や洋服などは漂白される可能性があります。いろいろな濃度がありますが、まずは2.5%からはじめます。角質が深い「背中にきび」には2.5%は薄すぎで、5-10%の製剤でなければアクネ菌を排除できません。
*ベンゾイルパーオキサイドは日本では未認可の成分です。ベンゾイルパーオキサイドのかわりにサリチル酸を配合している外用薬がありますが気をつけましょう。サリチル酸はベンゾイルパーオキサイドと同様にピーリング(表皮剥離)をおこしますが、アクネ菌の細胞壁には作用しません。
ステップ3.1%クリンダマイシン液(ダラシン10 mg/dl)を塗布。ベンゾイルパーオキサイドを洗い流した後、クリンダマイシン液(ダラシン)をうすく顔に塗ります。その後、ファンデーションなどを使用する場合は20-30分あけます。
夜、就寝前
ステップ1.刺激性の少ない良質のクレンジングバー(gentle
soap-free, pH balanced cleanser)を使い、ぬるま湯で洗顔します。充分に乾かします。
ステップ2.ディファリンクリーム(0.1%) を指先で顔全体にうすく塗布します。皮膚が敏感な場合には一週間に3回程度からはじめることもあります。ディファリン(アダパレン)は古くなった角質を落とし、詰まった毛穴を開放させます。炎症を抑える作用も認められます。成分のレチノイドは、内服では胎児に奇形をおこすことが知られていますので、女性が使用する場合には避妊が必要ですが、皮膚に塗る外用レチノイド(ディファリンクリーム)による奇形の報告は今のところありません。しかし、報告がなくても注意は必要でしょう。特に目や鼻、口粘膜から体内に入らないように気をつけます。レチノイド使用中は 日焼けをおこしやすくなるので日中はサンスクリーンを使用するようにします。
ステップ3.1%クリンダマイシン液(ダラシン 10 mg/dl)を、ディファリンクリームの塗布後5分ほどして、顔全体に塗布し、そのまま洗い流さずに就寝します。
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