【科学】夜空はどうして暗いのか?
夜空が暗いのはなぜ?
夜だから?
太陽が沈んでいるから?
でも、よ~く考えてみてください。
夜空には星や銀河が "無数" にあります。
すべて光を放っています。
問題はその隙間です。
下の写真を見てください。有名なオリオン座です。
https://www.world-star-register.co.uk/the-orion-constellation/
星と星の隙間って、色でいうと真っ黒ですよね?
そこには何もないんでしょうか?
下の写真は、その真っ黒にみえる部分を、さらによく見える望遠鏡でみたものです。
https://esahubble.org/images/opo0205b/
肉眼では真っ暗にみえる部分にも星や銀河がたくさん存在しています・・・
でも、この写真でも背景は真っ黒にみえますよね?
もっと性能の良い望遠鏡でみれば、この写真で黒く見える部分にも、無数の星々や銀河が存在しているはずです。
Credit: NASA/JPL/STScI Hubble Deep Field Team
そう考えると、夜空はもっと明るく輝いていても、おかしくないのではないでしょうか?
実はこの疑問は、すでによく知られていて、
オルバースのパラドックス (Olbers' paradox)
とよばれています。
宇宙には無限の数の星々や銀河があります。
理論的な計算によると
その光がすべて地球に届いていたら、夜空はめちゃくちゃ明るいはずなんです。
しかし、実際には、暗い。
どうしてでしょう?
いつものように答えを先に言います。
宇宙には無限の数の星々や銀河があるはずなんですが、そのうち地球に光が届いている星や銀河の数が無限ではなく有限だからです。
宇宙に無数に存在する星や銀河のうち、地球に比較的近いごく一部の光が地球に届いているだけなんです。
だから光の量がたりない・・・
実は地球から見ることができる星々や銀河の数は、どんな高性能の望遠鏡を使ってもかなり限られているんです。
言い換えると、地球から見える星と星、銀河の間にはスキマがあり、意外にスカスカしている、とも言えます。
なので
夜が暗いのは、地球から見える星々や銀河が少ないからといえます。
Credit: NASA, ESA, CSA, and STScI
ところが・・・
ここからは少しややこしい話になります。
実は、地球から見える星や銀河の隙間の真っ黒にみえる部分、星や銀河の向こう側にみえる ~宇宙の背景~ は輝いていることが最近わかりました。
ほんのりと明るいんです。
その輝きによって、その向こうにある星や銀河の姿が見えなくなってしまっています。
その輝きがなければ、もう少し先々まで星々や銀河をみることができるのです。
いろいろな観察によって、夜空にみえる星々や銀河の隙間は案外スカスカで、星々や銀河と銀河の隙間から、その向こう側 ~これを宇宙背景と呼ぶことにしましょう~ がみえていることがわかりました。
たとえると、森の向こうに木々の隙間から向こう側の景色がかなりみえている感じです。
その宇宙背景は、暗黒である・・・だから宇宙は暗い、と考えられてきました。
しかし、研究観察によって、その宇宙の背景は、真っ暗(暗黒)ではなく光っていることがわかったんです。
とはいっても、その光は弱く、人間の眼には見えません。
まとめると・・・
夜空が暗いのは星や銀河の数が少ないから
です。
それともうひとつ
星や銀河の隙間に見える宇宙背景の光が人間の目にみえないから
です。
ちなみに、この星や銀河の隙間から見える背景の光というか電磁波・・・これを専門用語で宇宙背景輻射といいます。
遠い遠い宇宙からの光(電磁波)です。
宇宙が誕生した直後、まだ星も銀河もできていない時期に、一瞬(といっても宇宙規模の一瞬です・・・)だけ、宇宙全体が光で満たされた瞬間があり、その時の光が電磁波としていまだに検出されている、というのが最新の理解です。
それが宇宙背景輻射です。
歴史的には、いろいろな観測によってこの宇宙背景輻射という光(電磁波)の存在が確かめられ、それによって夜空の星々や銀河の間には隙間があるとわかった、というのが順序になります。
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