【科学】ノーベル賞級の謎 ~ Delayed Choice Quantum Eraser ~
光は、観測の仕方によって、波にみえたり粒子にみえたりする
という不思議な性質があることがわかっていますが、そんなことよりもっと不思議なのは、"双子の光子"とよばれる光子ペアの存在です。
まるで互いに意思疎通しているかのようなんです。
ちょっと解説してみます。
"双子の光子"は、
片方を調べて波だったら、もう片方も必ず波
片方が粒子だったら、もう片方も必ず粒子
と、互いにその状態が必ず一致します(下図がその実験図)。
Nature Communications volume 8: 915 (2017)
不思議じゃないですか?
日常の世界で例えてみましょう。
コインが2枚あるとします。
2枚のコインを同時にトスしましょう。
裏表を確認します。
その結果が必ず一致するコインのペアがあったら不思議じゃないですか?
"双子の光子"とは、そういう不思議な存在です。
お互いの状態がいつもピタリと一致するんです。
片方の状態が変化すると、もう片方も、瞬時に変化します。
お互いの距離がどんなに遠くに離れていても
たとえ、銀河の端から端まで離れていても
です。
しかし!
もっと不思議なことがあるんです。
この"双子の光子"のつながりを、なんとか破壊してやろう!とした
いじわるな科学者がいたのです。
どんなことをやったのかというと・・・
"双子の光子"のうち、まず片方の状態を先に調べてしまいます。
そして、その後、もう片方の光子を違う状態に導いてやろうとしたんです。
でも・・・ダメでした。
先のやつを調べてみて、波だったら、どうやっても、後のやつは必ず波として観察され、もし、先のやつが粒子だと観察されたら、どうやっても、後のやつも粒子として観察されるのです。
なんか不思議さが伝わってない気がするので、
くじ引きで例えてみます。
同時にくじを引くと、いつも同じ結果を出す双子がいるとします。
それだけでも十分不思議ですが
この双子に時間差でくじを引かせる、と
双子の一人が当たる → その後、双子のもう一人は、どうやっても必ずあたりのくじをひく。
双子の一人が外れる → その後、双子のもう一人は、どうやっても必ず外れのくじをひく・・・
みたいなことがおこります。
選んだくじの結果が常に一致する不思議と何が違うんだ?
という声が聞こえてきそうですが、
なんというか
選んだくじの"状態"が常に一致する
というより
先のやつが選んだくじの結果と一致するように、後のやつが"行動"する感じなんです。
光子の話にもどすと、
光子のひとつが粒子と確認される → その後、もう一つの光子は、必ず粒子検出用の機械に飛び込む
光子のひとつが波として確認される → その後、もうひとつの光子は、必ず波検出用の機械に飛び込む
わかりますか・・・?
粒子用と波用と、2つの検出器に飛び込む確率は半々になるようにセットされているのに・・・
光子は、まるで意思があるかのように、状態が一致する検出器を選んで飛び込むのです。
文章力のなさで、なかなか不思議さが伝わらない気がしますが・・・汗
でもまぁ、なんとかその不思議さを受け容れたとして
先の光子と、後の光子と、どっちがどっちの運命を決めているのでしょう・・・?
ふつうに考えて、先の光子が、後の光子の運命を決めている
と思いませんか?
しかし!
量子物理学者は、後の光子が先の光子の運命を決めている(未来が過去の運命を決める)・・・というのです。
これはこれでまたなんと摩訶不思議な解釈というか(苦笑)。
後からくじを引く人の結果を、先にくじを引く方があらかじめ知っていて、その結果を事前に選択するって???
この現象は、Delayed Choice Quantum Eraser(日本語で、なんと訳したらいいのでしょう?)
といわれ、量子物理の世界ではとても有名な話らしいです。
実際に、実験で何度も何度も確認されているようです。
Delayed Choice Quantum Eraser
実験のセットアップ
(By Patrick Edwin Moran - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3215117)
いろいろな人がいろいろな仮説でこの現象を説明していますが、いまだ証明に至っていないそうです。
この謎を解明すればノーベル賞も夢ではないかもしれません。
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