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【育児】思春期の子を持つ親たちへ

ハワイ大学の教授(Dr. Yamamoto)によって書かれた育児本「Tidbits on Raising Children. Making Our Most Important Job Easier by Doing it Better」の一部(Chapter 36: Anticipating Adolescent Independence)を日本語訳したものです。

思春期の子育てに悩んでいる方は、是非とも読んでみてください。

 

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第36章:思春期とは自立するときと理解する

小さいころには親の助けがなければ生きていくことができなかったこどもでも、思春期になると、だんだん親から自立して生きていくようになります。

大人になると何でも自分で決めて生きていかねばなりません。

思春期とは、この自立のプロセスがはじまる時期です。

このことを理解することが、この時期の親子関係を良好に維持するうえで非常に重要なカギになります。

子どもからみれば「子どもであること」をやめ、まるで対等な友人関係にでもなろうとする時期なのです。

今はいい親子関係を築けているようにみえても、こどもが思春期をむかえると、そうとは限りません。ここに注意が必要なのです。

こどもは、いいこと悪いこと、正しいこと間違っていることを親から学びながら成長しています。

こどもが小さいうちは、こどもにいろいろなことを親が教えるのは簡単です。こどもは、親から褒められたり怒られたりしながら、していいこと、やってはいけないことなどを覚えていき、善悪や正誤の概念について学びます。

成長とともに、こどもをとりまく生活環境はだんだんと複雑化していきます。そこでも、こどもたちは善悪や、正しい、間違いなどの概念について学び続けます。

思春期なると、さらに生活環境は複雑化していきます。

ここで新しく始まるのが、大人になるための準備―――自立のプロセス―――です。

小さかったうちは親の言うことをよくきいていたこどもでも、思春期になるとそうはいきません。自立するためには、大人の指示に従っていてはダメだからです。

大人からこうしなさいと指示されることを極端に嫌うようになります。しかし、だからといって親として落胆することはありません。親を嫌いになっているのではないのです。

正常な発達です。

親の存在というのは、自立にむかって強く羽ばたこうとしているこどもにとってはある意味、邪魔なんです。

逆に、いつまでも親の言うことを聞いているこどもの方が問題です。そういうこどもは、自分では何も決めることができない大人になってしまいます。

こどもが思春期になると、まったく親の言うことをきかなくなり、ときには親の期待とは正反対のことをするようになります。

服装がかわり、ヘアスタイルもかわるでしょう。音楽の嗜好や言葉遣いもかわります。

親の嗜好とは何か違うものを求めます。

ただし、思春期の前にこのような変化がみられるとき、それは、ただ誰かほかの思春期のこどもの影響をうけ、その子の真似をしているだけです。自立のプロセスではありません。

思春期のこどもは信じられないほど急速に新しい知識を身につけていきます。そして、ときには親が知らない新しい知識を得るようになりますPCスキルや車の構造についてなど)。ついには自分は親よりも賢いんじゃないか、と思い込むようになります。そのうち親の信条や政治理念をとても古臭いと感じるようになります。

自分でも思春期の頃を思い出してみることがあります。なんでも知っているつもりになっていました。しかし、今、大人になって思えば、それがいかに薄っぺらい知識であったかがわかります。

一度、自分の娘が学校で栄養について教わり、その内容を話してくれたことがありました。ある部分の理解が間違っていたので、そのことを教えようとしたのですが、娘は私の言うことを信じようとしませんでした。私が小児科医であるにもかかわらずです。私の専門知識よりも学校の先生のいうことを信じるのです。これは私が彼女の「親」であるからに他なりません。

多くのこどもたちにとって、思春期は楽しさに満ち溢れている時期といっていいでしょう。しかし、ときには、耐えがたい精神的トラウマを抱え込んでしまうこどももいます。スポーツにうちこみ、すべてをかけていたにもかかわらず大切な試合に負けてしまったり。学校についていけず成績が下がってしまったり。大切な人の死に直面する場合もあります。

しかし、精神的トラウマの原因として、もっとも多いのは友だちと親に関するものです。たとえば、交際している異性とうまくいかなくなったとき、同時に、親との関係もこじれていたりすることがあります。

思春期のこどもが大きなストレスに立ち向かうとき、友人や家族の支えは欠かせません。自立しようとしているこどもには支えが必要です。誰かの支えがなしには、自立は不可能なんです。思春期に望みを失い、絶望し、うつになったこどもが自殺を考えることはめずらしくありません。こうなったとき、救いになるのは友人や家族との強いきずなです。支えがないこどもは簡単に自殺を考えるようになります。そのままでは大変なことになります。このようなとき、親子のコミュニケーションが充分にとれていれば、こどものSOSのサインを事前にキャッチし、必要な時にそばにいてあげることができます。

まとめます。大人は思春期のこどもたちの次のような特徴を知っておかなければいけません。

1.親のいうことをきかなくなる

2.親と離れて行動しようとする

3.親から指示されることを嫌う

4.自分は親より賢いんじゃないかと思うようになる

5.友達による支えが不可欠になる

親としてこのような変化に対応するのは簡単ではありません。思春期になる前に、こどもたちとよく話しておくことが肝要です。思春期になると親子の間に避けられない変化がおこることをあらかじめお互いに知っておけば、うろたえたり動揺したりする心配がありません。

夕食の時や、ドライブをしているときにこどもと思春期について話しましょう。たとえば・・・

「知ってる?ティーンエイジャーになると、パパやママの言うことをきかなくなるんだよ。パパやママと一緒にいたくないと思うかもしれない。お友達にパパやママと一緒にいるところをみられたくないと思ったり・・・。大人になるというのは、自立する、ひとりで生きていく力をみにつけていくということなんだ。ティーンになると一人で生きていくための準備がはじまる。親のいうことをきかなくなる。今でもそう思うことがあるかもしれないけど、それはたいてい友達と一緒にいたいからだけでしょ。でも思春期になると違うんだ。パパやママから離れたくて言うことをきかなくなるんだ。とにかく親から離れたくて友達と一緒に行動するようになるんだ。パパやママの言うことなんてききたくなくなるし、親のアドバイスなんかいらないと思うようになるかもしれない。パパやママがアドバイスしても、それとは全く逆のことをするようになるんだ」

「ティーンになると、自分は何でもパパやママより知っていると思うようになり、パパやママは何も知らないと感じるようになるだろう。パパやママが何かをすすめても、それは間違ってると反論するようになる。いろんな理由をつけてね。わかる?思春期になると知識がどんどん増えていくからだよ。たしかに、パパやママが知らないこともでてくるようになる。すると何もかも、自分のほうがよく知っていると考えるようになるんだ。でも、そんなことがあるはずがない。あたりまえだけど、年をとればとるほど知識は増えていくし、パパとママのほうが何年も先に生まれているんだからね。どっちのほうが知識が多いかといえばやっぱりパパやママの方なんだ。だから、思春期になっても、どうかパパやママの言葉をきいてね。パパやママのアドバイスなんて間違っていると思うかもしれないけれど、パパやママはほんとうは、いいアドバイスをあげているはずなんだ。純粋にヘルプしたいと思っているだけだ。世界中の誰よりも一番そう思っている。思春期になったとき、どうかパパやママを拒絶しないでほしい」

このようなメッセージは、できればこどもが思春期になる前に伝えたほうが効果があります。思春期になる前であれば親の言うことに耳を傾けてくれるからです。いうまでもないと思いますが、上にかいた例はメッセージの骨格にすぎず、そのまま読んでも陳腐でつまらないものです。それぞれ独自に肉付けをし、こどもの注意をひくようなストーリー展開にしてください。もしうまくいけば、こどもの心に残り、きっと思春期になっても親と子の心の意思疎通が保たれることになるでしょう。

こどもの成長にあわせて親が変わることも大切です。

こどもが小さいうちは、親は独裁的でもいいのです。しかし、思春期のこどもは独裁者のような親よりも友達のような親を好みます。意思疎通を保つために親としても作戦が必要です。こうしなさい、あーしなさいと指示をだすのではなく、こどもが自分で判断できるように情報をあたえるようにしましょう。もし、好ましい判断をくださなかった場合には、さらに情報をあたえ、判断の変更を促すのです。

参考文献

Tidbits on Raising Children. Making Our Most Important Job Easier by Doing it Better. Chapter 36: Anticipating Adolescent Independence. Loren Yamamoto, 1st Book Library

 

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