【趣味】ドライマティーニの誘惑
ジンとヴェルモットをまぜるだけのシンプルなカクテル、ドライマティーニ。
このカクテル、注文するとほぼ確実に好みを聞かれます。
そんなとき、ふつうは「マスターにおまかせ」ですよね。
でもマティーニの場合、それは ┐( ̄ヘ ̄)┌ NG
この記事を参考に、ぜひ、自分の好みを伝えましょう。
1.ジンを何にするか?
マティーニのベースになるリキュールは、ロンドン・ドライジン London Dry Gin です。
おもに次の3社の中から好みを選びます。
- ゴードン Gordon社 のドライジン
- タンカレー Tanqueray社 のドライジン
- ビーフィーター Beefeater社 のドライジン
上からジュニパーベリーの匂い(松脂の香り、苦味)が強い順になります。
ゴードン Gordon社 のジンの風味は力強く男性的です。
タンカレーの味わいは上品でやや甘みがあります。ジュニパーベリーの香りは芳醇です。
あなたはどのジンが好きですか?
管理人は、ストレートな味わいでくせのないビーフィーターを選ぶことが多いです。どことなく香る柑橘系の匂いも好きです。
ジンは冷やせば冷やすほどトロけておいしくなります。
冷凍庫でキンキンに冷えたジン・・・ワクワクしますよね。
2.ベルモットの量をどの程度にするか?
マティーニをマティーニたらしめるリキュールが、ヴェルモット Vermouth です(英語読みではヴァームースと言います)。
ドライマティーニとは、辛口(ドライ)のヴェルモットVermouthを使ったマティーニという意味です。
従来、辛口のヴェルモットといえばフレンチヴェルモットFrench Vermouth(フランス、ノイリープラット社のヴェルモット)のことを指しました。
イタリアの甘いヴェルモットItalian Vermouth(イタリア、チンザノ社のスウィートヴェルモット)などは使用しないというのが一般的な理解でした。
しかし、実はチンザノ社(イタリア)にも、チンザノ・エクストラ・ドライという良質な辛口ヴェルモットがあります。
管理人の好みは、やはり王道、フランスのノイリープラット Noilly Prat(英語読みではノアープラーといいます)です。
しかし。
カウンターでヴェルモットのメーカーをきかれることはまずないでしょう。
マスターが知りたいのは、あなたの好きなドライヴェルモットの「量」です。
ジン2~3に対してヴェルモット1の割合でつくるマティーニをクラシックマティーニ Classic Martini といいます。
ミックスするヴェルモットの量をより少なく、ジンとドライヴェルモットの比率を4~5:1程度でつくると、標準的なドライマティーニができあがります。
ヴェルモットの量を少なくすればするほどドライ(辛口)になります。
比率を6~7:1でつくると、標準より辛口のマティーニ(Very Dry Martini)になりますが、これを Gin & French ということがあります。
一時期、マティーニはドライにつくるほど粋であるという風潮が流行り、ヴェルモットの量がどんどん少なくなりました。
比率を8~9:1にしたExtra Dry Martiniや、中には10:0、つまりまったくベルモットを加えず、ヴェルモットのボトルをチラみしながらストレートジンを飲む、というNaked Dry Martini(裸のドライマティーニ、チャーチル)などという冗談のようなマティーニもあらわれました。
あなたは、ジンに対してどのぐらいの比率でヴェルモットを入れたいですか?
管理人は、5:1~6:1程度のスタンダードなドライマティーニがおいしいと思います。
Extra Dry Martiniを注文する場合、実際にはヴェルモットを数滴たらすだけというような事態になりますが、ここに注文のスタイルがあります。
リンススタイルというのは、ただヴェルモットで濡らした(リンスした)氷をつかってジンをステアするだけです。これだけでジンにヴェルモットの風味を加えます。できあがりはめちゃくちゃドライになります。スプレースタイルとは、ジンにドライベルモットをスプレーして風味を加える方法です(管理人は注文した経験はありません)。これもかなりのExtra Dryになると思います。
ベルモットを、スウィートヴェルモット(イタリア、チンザノ社のヴェルモット)に変えると、スウィートマティーニSweet martini(別名:ジン&イット Gin & It)というカクテルになります。Itというのは、甘いイタリアンヴェルモットItalian Vermouthの愛称です。
ドライヴェルモットとスウィートヴェルモットを半々にしてつくったマティーニは、ミディアムマティーニMedium Martiniとよばれます。
3.ステアStirするかシェイクShakeするか?
もともとマティーニはキンキンに冷えたジンとヴェルモットをよく冷えたミキシンググラスに注ぎバースプーンで30秒ほどステアして(攪拌して)つくるものです。
ところが、映画007でジェームスボンドが「ステアではなく、シェイクで・・・(Shaken, not stirred...)」と注文しました。これが大流行り。シェイクしてつくるマティーニをボンドスタイルというようになりました。
(映画中では、ジンのかわりにウォッカをつかい、ショートグラスではなくシャンパングラスに注いでいます)
シェイクするとカクテルが濁ってしまいますが、口当たりはソフトになり、飲みやすくなります。
管理人は、スタンダードに「ステアで・・・」と頼みます。
4.ストレートアップかオンザロックか?
マティーニの定番は、ショートグラスとよばれる逆三角形(逆円錐)型の脚の長いカクテルグラスにストレートに注ぎあげてつくられます。
何も言わなければストレートでつくられることが多いと思います。
しかし、アメリカではステアしたミックスを氷をいれたロックグラスに注ぎこむオンザロックのほうが普通になっていて、特に「アップで!」といわないとオンザロックででてくるのが一般的です。
なので、日本のバーでも、しばしば「オンザロックにしますか?」ときかれることがあります。
ゆっくり飲みたいときは、オンザロックがいいでしょう。
ストレートに注がれたマティーニは3〜5口程度ですぐに飲んでしまうのが前提です。氷がはいらないショートグラスでは、すぐにぬるくなってしまうからです。
5.レモンピールするかしないか?
マスターがレモン片手に「どうしますか?」という顔であなたをみているのは、
レモンピールしますか?
と、きいています。
レモンの果脂による香りづけです。それ以上の意味はありませんo(*^▽^*)o
レモンピールのかわりに、グラスのふちをレモンで拭くスタイルを「リンス」といい、こうするとすっきりしたマティーニになります。
レモンを絞ってグラスの中に落とし込む、「ツイスト」という方法があります。ピール(香り)だけではなく、レモンの苦味や果脂も加わるため、特にオンザロックで好まれます。ショートグラスに落とし込むとカクテルがこぼれてしまいますしね。
ところで、実は以前から、ビーフィーターにはレモンピールよりもライムピールのほうがあうのでは・・・と密かに思っているのでありますが、どうでしょう。
なお、ジンの質が悪いとき、レモンのかわりに、オレンジビターズをたらすと味がひきたつそうです。
6.オリーヴをどうするか?
オリーヴには、未加工の Plain Olive の他、種抜きの Stoned Olive、レッドペッパー(赤ピーマン)などが詰められた Stuffed Olive があります。マティーニに飾るオリーヴは、典型的には Stuffed Olive です。
オリーヴは、そのままにしておくと塩分が溶け出してマティーニを甘くしてしまいます。辛口が好みなら、できるだけグラスを揺らさずに飲むのがコツです。ショートグラスはほとんど傾けずに飲めるようにデザインされていますから、辛口のドライマティーニには最適です。甘くなる前に飲み終わりましょう。
逆に、マティーニが思ったより辛口に感じるときには、わざとグラスを揺らして甘口に調整します。オンザロックで注文された場合には、ゆっくりと飲みたいわけですから、オリーブをいれないことも多く、これをニューヨークスタイルとよぶことがあります。
このようにオリーヴについては、注文の仕方というより、どうするのか(注文との整合性)にこだわります。
こだわる人は、食べるのか・・・食べないのか・・・食べるなら、いつ食べるのか・・・なんてところにもこだわります。どーでもいいと思われるかもしれませんが(苦笑)。最初に食べてしまうと、もしマティーニが辛口に感じるときに甘口に調整することができなくなってしまいますので、やめたほうがいいでしょう。飲み終えれば、そのまま残すか、あるいは最後に食べればオリーブの塩味があてとなり、次のカクテルへのつなぎになるかもしれません。個人的には、最初の一口で味をみて、ちょうどよければそのまま沈めておき、塩味が溶け出し次第にマティーニが甘くなってきたところでオリーヴを取り出してしまいます(o^-^o)。オリーブの置き場所に困りますが。
スウィートマティーニを注文した場合は、辛いオリーヴではなく甘いチェリーRed cherryが添えられるそうです(未経験)。
7.その他
マティーニにはいくつかバリエーションがあります。
ジンのかわりにウォッカをつかえば、ウォッカティーニ(通称:カンガルー)になります。特にカナダ産ウォッカの最高峰、サイレントサム Silent Sum を使ったものはサムズマティーニ Sum's Martini とよばれます。オンザロックで注文するのがふつうです。
ギブソン Gibson というカクテルは、ロンドンドライジンより甘味や香味のあるプリマスジン Plymouyj Gin、オリーヴのかわりにパールオニオンを2個(なぜか必ず2個・・・)飾ったカクテルで、それ以外はマティーニと同じです。もともとのギブソンはステアでつくるものでしたが、マティーニと区別するためにシェイクするスタイルが多くのバーでとりいれられました。ところが、その後、シェイクするマティーニが大流行し、シェイクでギブソンをつくる意味がなくなりました。パールオニオンにするのはオリーヴよりも辛いからだそうです。ギブソンはマティーニよりもドライ(辛口)につくるのが本筋だそうですが、マティーニがどんどんドライになり、ギブソンの存在意義が危ぶまれている気がします。最近はプリマスジン Plymouyj Gin 独特の甘味やボタニカル香味もなくなり、ロンドン・ドライジンに似てきました。つまり、ギブソンは Dry Martini に限りなく近づいています(もはや区別できるのはパールオニオンだけ?)。
ジャマイカンマティーニ Jamaican Martini というのは、ジャマイカ産のホワイトラム White Rum とドライシェリー Dry Sherry をステアして、オールドファッショングラス Old Fashioned Glass でだされるマティーニです(ヴェルモットをつかってないのにマティーニ?)。暑い日の午後、日差しの中で飲むとおいしいです。海外旅行でもない限り昼間から飲むチャンスなんてなかなかないでしょうけれども(苦笑)。レモンではなくライムピールの香りがあいます。オリーヴではなく、ライムをしずめることもあるようです。
いかがでしたか?
次はぜひ自分の好みを伝えてみてください。きっと世界が広がると思います(v^ー゜)!!
おすすめ記事
« 【歴史】この世で一番わかりやすい竹島問題の話 | トップページ | 【超解】アインシュタインの相対性理論 これでわからなかったらあきらめよう!(笑) »
« 【歴史】この世で一番わかりやすい竹島問題の話 | トップページ | 【超解】アインシュタインの相対性理論 これでわからなかったらあきらめよう!(笑) »
コメント