放射能について2 アルファ線 β線 ガンマ線 の違い
アルファ線、ベータ線、ガンマ線について
α線とは?
高速で飛ぶヘリウム原子核。
真空中であれば、光速の約1/20のスピードで、一直線にどこまでも飛んでいく。
しかし、空気中の飛行距離は約3cm程度しかないので、離れていれば安全。紙一枚で遮断できる。皮膚を通過できない。
α線が人体に影響を与えるのは、実質上、体内に摂取されたとき(内部被爆)のみ。
体内に取り込まれたα線は組織の中でほぼ同じ場所にとどまるため、局所への電離作用は非常に強く、それだけDNAを損傷する力が強い。
ラジウム226やラドン222(気体)から放射される。
β線とは?
高速で飛ぶ電子。原子核の中性子が陽子になるときに、原子核から放出される電子。
α線よりは遠くへ飛ぶ。アルミ箔や、1mmの鉄、1cmのプラスチックで遮断できる。皮膚を通過できない。
β線が人体に影響を与えるのは、実質上、体内に摂取されたとき(内部被爆)のみ。
人体中では、アルファ線よりは移動するため、局所のDNA電離作用はアルファ線より弱いが、ガンマ線より強い。
ストロンチウム90(生理的にカルシウムに似ている)などから放射される。
γ線とは?
原子核から放出される光子。励起した原子核が基底状態にもどるとき、原子核の内部から放出される。
光(電磁波)ではあるが、波長は紫外線よりさらに短く、目に見えない(ガンマ線の波長が長くなると紫外線となり、さらに長くなると青く目に見えるよ うになる)。ガンマ線は、超高周波の光(電磁波)ともいえる。光のエネルギーは周波数に比例することからもわかるように、ガンマ線は高エネルギーである。
光子であるので真空中では光速でまっすぐに飛ぶ。
空気中では飛行距離は数メートルで、鉛板や厚い鉄板で遮断できる。
アルファ線やベータ線よりは透過性は高いが、その分、人体中でも同一場所にとどまることはなく、直接的なDNA電離作用はα線やβ線に比べて弱くなる。
しかし、細胞内の水を次々と電離させ、周囲にヒドロキシルラジカル(活性酸素)を生成するため、このヒドロキシルラジカル(活性酸素)が、間接的にDNAを損傷する作用がある。
放射能測定器で測定しているのはガンマ線。
セシウム137(生理的にカリウムに似ている)などから放射される。
X線とは?
電子から放出される光子。原子核の周囲にある電子が励起状態から基底状態にもどるとき、電子から放出される。
光(電磁波)であるが、X線の波長はガンマ線よりやや長い傾向がある(波長だけでは区別できない)。
中性子線とは?
コンクリートで遮断される。
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電離作用とは
分子内の電子を弾き飛ばし、分子を強制的にイオン化させる作用のこと。
水素分子が電離した場合は、陽子と電子がばらばらになる。
DNAを構成する重要な塩基であるアデニンとグアニン、および、シトシンとサイミンは、それぞれ共通の基本骨格を有しているが、電子の混成軌道に違いがある。
これら塩基の電子軌道が放射線によって撹乱され、混成軌道に変化が生じると、アデニンがグアニンに(その逆も)、シトシンがサイミンに(その逆も)変化しうる。結果、DNAコードがメチャクチャになってしまう。
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