認知症の予防にアロマオイル?
テレビで話題になった認知症予防が期待されているエッセンシャルオイル(精油)の配合比率です(動画の6:15~)。
鳥取大学医学部保健学科からの報告です。
朝用アロマ(午前中に2時間以上嗅ぐ)活性化
ローズマリー:レモン=2滴:1滴
日中に集中力が高まるローズマリーと高揚効果のあるレモンをブレンド
夜用アロマ(就寝1時間前から2時間以上嗅ぐ)沈静化
ラベンダー:オレンジ=2滴:1滴
夜は安眠効果のあるラベンダーとリラックス効果のオレンジをブレンド
解説:
そもそも認知症の患者は嗅覚が鈍感になっているといわれる。
そこで研究者らは、認知症の患者に匂い刺激をあたえると、その刺激が嗅神経から海馬(記憶領域)に伝わり、海馬における神経細胞の発生を促進し、認知機能に改善をもたらすのではないか?
と考えた。(正常なヒト海馬歯状回においては、生涯、神経細胞の発生が観察される)
報告(小林和歌子, 2005)によると、ローズマリー&レモンの香りは、集中力を高め、記憶力を強化する刺激的な作用があり、ラベンダー&オレンジの香りには心や身体への鎮静作用があるといわれている。
そこで、朝にローズマリー&レモンの香りをディフューザーにて部屋に散布し、夜にラベンダー&オレンジの香りを散布した。
自律神経の日内変動に合わせて、朝は刺激により交感神経を優位に働かせ、夜は鎮静作用により副交感神経を優位に働かせるためである。
その結果、一部の認知症患者において知的機能の改善がみられた。
番組内での質疑応答
Q: 夜用アロマだけを使ってもいいのか?
A: 朝用アロマは神経細胞を活性化、夜用アロマは神経細胞を鎮静化する作用がある。朝用と夜用を併用した方が神経細胞の活性化と鎮静化ができるため効果的。
Q: 40代から使っても効果はあるか?
A: 40代から使っても効果は期待できる。認知症は65歳を過ぎると発症しやすくなるが、発症する10~20年ほど前から脳の中では変化が始まっているので、40代・50代から始めても予防効果は期待できる。
エッセンシャルオイルとアロマオイルの違い
精油(エッセンシャルオイル)という表記は100%天然の植物から抽出したものにのみ許され、ヨーロッパでは、エコサート(ECOCERT)などの第三者機関によって品質基準が管理されています。上記の認知症予防の研究に使用されたのはエッセンシャルオイル(精油)です。
一方、アロマオイルには100%天然でないもの、合成の化学香料が混ざっています。100%天然でないものには精油という商品名は付けられないためアロマオイルという表記になります。香りを楽しむ場合にはアロマオイルで大丈夫です。
日本における漢方薬のように、ヨーロッパではハーブが医薬品として発達してきました。そのような医療文化的な背景もあるのでしょう、ヨーロッパ、特にフランスにおいてはエッセンシャルオイルが「医薬品」として認識されているようです。
日本においては、平成26年11月に「新・薬事法(薬機法とよばれています)」が施行されましたが、エッセンシャルオイル(精油)もアロマオイルも、基本的に「雑貨」扱いになります(一部のエッセンシャルオイル(精油)は「化粧品」扱い)。
日本のアロマセラピーには、薬事法上、さまざまな問題がついてまわります。
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