水素水のORPとpHの関係 酸化還元電位 vs アルカリ度
水素水の性能をあらわすインデックス(指標)には、次の3つがあります。
酸化還元電位(単位はORP)
水素濃度(単位はppbまたはppm)
アルカリ度(単位はpH)

ある水素水の性質はこのような三角形の形で表すことができます。
商品ごとに三角形の形が違うと思ってください。
この3つを測ってみて、
水素濃度が高いことを強調したい →「水素水」
還元力が強いことを売りにしたい →「還元水」
アルカリ性であることを特徴にしたい →「アルカリイオン水」
と、しばしば違う名前がつけられて販売されます。
ときに、アルカリイオン水ブームの時にはアルカリイオン水として、還元水がブームになれば還元水として、しばしば名前をかえて同じものが登場したりします・・・
こうなると、
選ぶほうのリテラシー(理解力)が重要になってきます。
ネーミングに単純にだまされないようにしましょう!
とはいっても、しかし・・・
じゃぁ、何を基準にして選べばいいのか・・・
案外むずかしいです・・・
水素濃度は高いほうがいい。
酸化還元電位(ORP)は低いほどいい(ORPが低いほど還元力が高い)。
これぐらいは、調べればすぐわかります・・・
でも、現実の選択肢は、
「水素濃度が1.6 ppmでORPが -200 mVの水素水と、水素濃度が1 ppmでORPが-500 mVの水素水」はどっちがいいの?
と、いうもので、
調べれば調べるほどだんだん深みにハマリ、わけがわからなくなってきます。
そもそも、酸化還元電位(ORP)って何???
という壁にあたるのです。
水素水の販売サイトには、酸化還元電位(ORP)の数字がが大々的に宣伝されているところがたくさんあります。
酸化還元電位(ORP)とは、
簡単に言うと、水中の
電子(マイナス)の量
です。
水素って、イオン化するとどんどん電子を放出します。
H2 (水素) → 2H+ (水素イオン) + 2e−(自由電子)
この、放出された自由電子が抗酸化、つまり「さび取り(活性酸素を水にしてしまう)」作用の主体と考えられているんですね。
だからこそ、酸化還元電位(ORP)が低い水ほど、いっぱい自由電子が含まれている水 = 「いい水」ですよ!
という宣伝になるわけです。
普通の水道水の酸化還元電位(ORP)は、プラス600mV以上あります。
ぜんぜん電子が含まれていない水ですね・・・
水素水の宣伝サイトをみると、
よく、
酸化還元電位(ORP)= マイナス500mV!!
とか、書いてありますよね!?
酸化還元電位(ORP)がマイナスであるほど、電子が多く、還元力(さび取り作用)が強い!
といいたいわけです。
この酸化還元電位(ORP)と水素濃度の関係をみてみましょう。
下図をみてください。
ある水Aに、水素をどんどん溶かすと、水Bになります。

水Bは水Aにくらべて、アルカリ度(pH)はかわらず(~わずかにアルカリ性になって)、酸化還元電位(ORP)が下がっています。
水Bは、水素水と命名され、販売されます。
一般に、
水素濃度が高いほど、酸化還元電位(ORP)が低い。
酸化還元電位(ORP)が低いほど、水素濃度が高い。
と、いうのはこのような関係から理解できます。
ところが、この酸化還元電位(ORP)・・・
水のアルカリ度を上げるだけでも、簡単に下がります。
酸化還元電位(ORP)とアルカリ度(pH)の関係は次のようになります。

水Aをアルカリ性にすると、水Cになります。

アルカリ度(pH)を上げるだけで、Aの水がCになり、ORPがグッとさがります。
水Cは、アルカリイオン水として販売されます。
ORPが低く、からだのサビをとってくれそうな気がしますよね?
しかし、
ポイントは、水の酸化還元電位(ORP)は、水素濃度をあげても下がるのですが、アルカリ度(pH)をあげるだけでも簡単に下がるのです。
アルカリ度(pH)が上がると、酸化還元電位(ORP)がドンと低下する。これが曲者なんですね。
先ほどの図とあわせてみましょう。

水Aが基準として、
Bの水素水より、Cのアルカリイオン水のほうが酸化還元電位(ORP)が低いですよね?
でも水素濃度はBのほうが高いことに注意してください。
水素濃度が高いB
酸化還元電位が低い(還元力が強い)C
あなたは、どっちを選びますか・・・
これが、最初に書いた、
「水素濃度が1.6 ppmでORPが -200 mVの水素水と、水素濃度が1 ppmでORPが-500 mVの水素水」はどっちがいいの?
という疑問なんですね。
どっちがいいのか、考えてみましょう。
たとえば、次のグラフにある、N社とT社の2種類の水素水を比較してみましょう。

水素濃度はN社のほうが高く、還元電位はT社の方が低い。
N社の水素水Aは、水素水として売られています。
pHは中性に近い状態です。
一方、T社の水Bはアルカリイオン水とか還元水という名で売られています。
酸化還元電位(ORP)が低い(還元力が強い)ことが謳い文句です。
酸化還元電位(ORP)だけをみると、T社の水Bのほうがよさそうにみえますよね?
酸化還元電位(ORP)は低いほど還元力が高いのですから・・・
たしかに、T社の水BにはN社の水Aよりもたくさんの自由電子が含まれているでしょう。
しかし、水が体に取り込まれるとどうなるでしょうか?
人間の体のpHは、厳密に中性に近く保たれています。
つまり、
T社の水Bが体内に入ると、中性に戻されるのです。
すると・・・
水Bは中和されながら、下の図の矢印の方向に移動していきます・・・

なんと!
場合によっては、T社の水Bの酸化還元電位(ORP)は、体内にはいった途端、中性に戻され、プラスに転じる可能性があります。
後述するように中性に戻される過程でからだを還元する作用も期待できますが、最終的に酸化還元電位(ORP)がプラスになりそうな水であることに注意が必要です。
ORPがプラス → 体から電子を奪う → 体を酸化・老化させる!?
こういうことがあるので、酸化還元電位(ORP)の宣伝には、かなりの注意を払わなければいけません。
なので・・・
微妙なのですが、この場合なら、管理人は、水素濃度が高いN社の水Aを選びます。
かなり勉強して、この結論に到達できました。
では、下図の水Aと水Cは、どちらがいいのでしょう?

水Aも水Cも、どちらも同じ水素濃度の水素水ですが、Aは水素水、Cは水素水かもしれませんがアルカリイオン水とか還元水として販売されているかもしれません。名前からは判断できません。
さっきの話だと、水Cは体内に吸収されると、中性に戻され、結局、水素水Aと区別がつかなくなりますよね?
どっちも同じというところでしょう。
ただ・・・
水Cは、体内で中性に戻される過程で、からだを還元する作用が期待できます。
アルカリ食品としての効果です。
水Bにも同様の効果は期待できるのですが、最終的に酸化還元電位(ORP)がプラスに転じるので論外・・・としました。
ところが、
水Cは、中性に戻されても、まだ酸化還元電位(ORP)がマイナスです。
つまり、水Cには、水Aにない、アルカリ食品としての作用を期待してもいいかもしれません。
すると、AよりはCのほうが少しいいかもしれない・・・
なんか、わかりにくくなってきたかもしれませんね・・・(苦笑)
少しだけアルカリ食品について説明しておきます。
アルカリ食品とは、尿をアルカリ性にする食品(飲料を含む)のことです。
アルカリ食品が体にはいると、体のpHがアルカリ性にならないように(体のpHを中性に保つために)尿にアルカリが放出されます。
この体の状態をアルカローシスといいます。
このとき、体内で何がおこっているかというと、水素イオンの欠乏状態です。
アルカローシスになると、生体は水素イオンが欠乏しないように(pHを中性に保つために)、水素分子から水素イオンをつくります。
このとき、電子が産生されるんです!
H2 (水素) → 2H+ (水素イオン) + 2e−(自由電子)
アルカリ食品は、生体をアルカローシスにし、電子を産生させる ⇒ だからアルカリ食品には還元作用がある ⇒ だからアルカリ食品はからだにいい
と、考えられているんです。これもまぁ、仮説なのですが・・・(^-^;
なので、
水Cのほうが、水Aより若干、還元作用(電子の作用)が期待できるということです。
つまり、下図でみると、BよりはAがよく、AよりはCがよいということになります。

まぁ、微妙な違いです(。>0<。)
アルカリ食品としての作用は、あくまでも、水素水が体内に取り込まれた場合のみに考慮すべきことであって、水素入浴のような場合には、考える必要はありません(水素バスではA=Cといえます)。
・・・(END)
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