アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その10
アインシュタインの特殊相対性理論 → ここからスタート
アインシュタインの一般相対性理論 → ここからスタート
結局・・・
アインシュタイン方程式
Gμν = 8πG Tμν/c4
とは、係数を無視して(8πG/c4 = 1 とおき)単純化すれば
「G」 = 「T」
ということです。
言葉にすると、
空間の歪みをあらわす式を「G」とし、空間の密度をあらわす式を「T」とすると、(Γ ≡ F であれば)
「G」 = 「T」
だと思う
と、いっているわけですね(注)。
ところがこの理論のどこにも(Γ ≡ F であれば・・・)←この部分がはっきり書かれていないので、シロウト的には非常にわかりにくい。
特殊相対性理論では、「もし、光の速度が不変であれば・・・」という仮説からスタートして、一歩一歩、ロジックを進めていくと、最後に「E = mc2」という式がでてきて、みんなびっくり!
という感じだったと思います。
しかし、一般相対性理論はちょっと様子が違います。
アインシュタインがおもむろに
空間の歪みをあらわす「G」を右手に持ち、空間の密度をあらわす「T」を左手に持ち・・・えいっ!とばかりに
「G」 = 「T」
だろ?と、結合させた感じです。
自然に導かれたという感じがありません。
特殊相対性理論の E = mc2 の式のように、最後に「おぉ!!!」という感動がないのです。
なんか天下り式に
「G」 = 「T」
だろ?
なんて急に言われても「ん?・・・なんで?」ってなる人が大半だと思います。
いやいや、当のアインシュタインからすれば、
「Γ ≡ F」なんだからあたりまえじゃん。
オレ、なんかおかしいこと言ってる?
という感じかもしれませんが・・・(汗)
結局、一般相対性理論は数式自体の難しさ・・・もさることながら、
アインシュタインの直感というか、一番言いたいこと(Γ ≡ F)が、どこかオブラートに包まれていて、
そのせいで、理論の構成というか"あらすじ"がとてもわかりにくくなっている、という気がします。
特殊相対性理論のときの直感(光速度は不変だろ?)とちがって、
一般相対性理論の直感(Γ ≡ F だろ?)は、隠されていると思います。
その隠されているものが常識とはかけ離れた奇抜なアイデアであるからこその難しさ・・・
一般相対性理論って、部分部分をみると別にアインシュタインでなくとも、その他の天才や秀才が、いずれは到達できるであろうロジックの積み重ねで成り立っていると思います。
しかし、その中で一か所だけ、アインシュタインならではのところがあり、それが
Γ ≡ F
すなわち、Γ(ガンマ)の数学的意味と物理的意味の融合・・・
物理的な力(ちから)F あるいは加速度(Γ)なんて実は数学的には空間の歪み(Γ)にすぎない・・・
という実に(当時としては)奇想天外な発想だと思います。
管理人的には、しかし、その隠された直感こそが一般相対性理論の核心であり、むしろ、アインシュタイン方程式
Gμν = 8πG Tμν/c4
よりも、その背後に潜む
Γ ≡ F では?
という人智を超えた発想のほうに"すごさ"を感じます。
まとめます。
一般相対性理論は、重力がない世界で成り立つ特殊相対性理論を、重力がある世界でも成り立つように一般化させたもの、とよく言われています。
しかし、あの有名な E = mc2 を一般化したものが、アインシュタイン方程式 Gμν = 8πG Tμν/c4 である、というわけではありません。
そうではなく、アインシュタイン方程式は、ニュートンの重力方程式 ∇F = 4πG「 ρ 」を、アインシュタインの奇想天外な発想(Γ ≡ F)で一般化したものです。
その証拠に、アインシュタイン方程式からニュートンの重力方程式を取り除くと、隠されたアインシュタインの主張(Γ ≡ F)がみえてきます。
つまり、アインシュタイン方程式とは、アインシュタインの直感(Γ ≡ F)が正しければこうなる・・・という、いわば仮説にもとづいた方程式です。
言い方をかえれば、この方程式の正しさが証明されたとき、同時に
Γ ≡ F
(空間の曲がり = 重力)
という、おそらく博士が最も言いたかったはずのこと(重力の正体はジオメトリーである!)が証明されることになります・・・そういう仕掛けが施されていると思います。
おしまい オワタ 三┏( ^o^)┛
(注):空間の歪み「G」と空間の密度「T」の関係は、下図のようなイメージで理解できるのではないでしょうか。
「G」がグラフの線の曲がり具合(曲率)をあらわします。曲がりが大きくなればなるほど、ひずみに囲まれた物質の密度「T」が増加するというイメージです(頭の中には立体的に立方体みたいな絵があるのですが、描けません→WikipediaにGIFがありました。下記をご覧ください)。空間の密度が重力と関係していそうなこと、この絵をみてイメージしてみてください(*´v゚*)ゞ(
(https://en.wikipedia.org/wiki/File:General_relativity_time_and_space_distortion_extract.gif)
あとがき
今回、本邦初、無謀にも一般人が一般人のレベルでアインシュタイン方程式(Einstein's Field Equation)を一般人を対象にして解説してみました。
さすがに誰にとってもわかりやすい記事というわけにはいかなかったかもしれません。
専門家からみれば、ずいぶん正確さに欠けるところもあると思います。
しかし、世の中に出回っている一般相対性理論のわかりやすい解説は、数式を一切使わずマンガや絵ばかりでてきて、結局、アインシュタイン方程式 Gμν = 8πG Tμν/c4 の意味は永遠にわからいという不満があります。
かといって、数式に関する解説書に挑戦してみると、あまりにも難しすぎて途中で挫折してしまう・・・
そういうジレンマを感じている、物理学者でも数学者でもない管理人のような "いわゆる一般人" は、意外に多いのではないかと思います。
そこでこの記事では、一般相対性理論をより深く理解してみたいけど、数式だらけの難解な解説は御免だ・・・というような人を対象に、あえて数式を最小限に抑えつつ、アインシュタイン方程式の解説を試みるという無謀なチャレンジをおこないました。
管理人的には、相対性理論とは、もう、
特殊相対性理論:「E ≡ m」
一般相対性理論:「Γ ≡ F」
と、単純化して理解しています。
特殊相対性理論は、光速度は不変であるという観測結果から出発し、最終的に 「E ≡ m」 という驚くべき新しい概念に昇華しました・・・一方、
一般相対性理論では、重力の正体に関する驚くべきアイデア 「Γ ≡ F」 が最初にあって、それを使って古典的な万有引力の方程式をエレガントに書き換えた感じです。
一般相対性理論の数学的難しさは特殊相対性理論に比べて格段に上だと思います。しかも特殊相対性理論のような「おぉっ!」という感動がありません。それより(まったく個人的な感覚ですが)何か終始一貫してモヤモヤした感じがします。そのモヤモヤ感の原因はもちろん管理人の知的限界にあるのだと思いますが、どうも「Γ ≡ F」というアインシュタインの奇抜なアイデアが、終始、伏線から浮上しないことも一因ではないかと思うのです。
そこで、むしろそこを最初にはっきりさせて解説しみてたらどうだろうか?と思い立ち、このシリーズの執筆をはじめました。
こんな解説はどこにもありませんし、間違っているかもしれません(いや、めちゃくちゃ簡略化したのでたくさん間違っているはずです)。しかし、本記事の目的は、専門家を相手にした正確な解説ではなく、アインシュタイン方程式とは簡単に言うとこういうことだ、という一般の人に伝わる散文です。
もしこの記事って少し面白かったな・・・というアマチュアが一人でもいてくれれば目的は達成、うれしいです(それを確認できないのが寂しいところですが・・・もし面白かったな~と思ったら、ぜひSNSなどでご紹介ください)。
それではみなさま、最後までお読みいただきありがとうございました!
(もし、何か気がついた点など、コメントいただければ"管理人が理解できる範囲"であれば参考にさせていただきたいと思います。が、難しすぎる質問にはたぶん対応できません。あしからず、すみません・・・(;´▽`A``)
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数学がさっぱりな者にもわかりやすいご説明ありがとうございます。
昔からこの相対性理論のいろいろな一般書を読んでも説明があやふやで
どうにも腑に落ちないのです。
特にゴムシートの上にボール等を置いて空間の歪みと重力の説明の部分。
これだと外から見て光速も変化していないとおかしいですよね。
管理人さんの「空間の歪みと密度が同じ」と「Γ ≡ F」の帰結を見て
なるほど、そういうことを言っているのかと腑に落ちました。
まぁ、空間って? 光って? 質量って? 真空って? 時間って?と
疑問はさらに膨らみます。
投稿: AS | 2023年9月28日 (木) 18時19分
>ASさん
コメントありがとうございます!
投稿: 管理人 | 2023年9月29日 (金) 23時19分