« アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6 | トップページ | アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8 »

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その7

(もどる)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6

(つづく)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8


https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/knot242409_1920.jpg

 

☜この記事をシェアする

 

アインシュタインの一般相対性理論の式はほんとうは16種類あるけれども、一般人は、そのうち

G00 = 8πG T00 ・・・式1

だけを考えればよい

というのが前回の記事のまとめですが、今回、この左辺の G00 について解説します。

いきなり結論から述べましょう。

G00 って・・・

実は、

Γ(ガンマ)のことなんです。

このシリーズをここまで読まれた方なら (・_・)エッ....? って感じですよね?

あの Γ(ガンマ)です。

 

いや・・・ちょっと訂正。

正確に言うと・・・完全にイコールということではなく、

G00Γ(ガンマ)を少しだけ修正したものです(;´▽`A``。

 

どういうことかというと・・・

Γ(ガンマ)が表現する「空間の歪み」とは、2次元空間でいうと「面の曲がり」のようなものです。

たとえば、球面や円柱の側面は、どちらも曲がっています。

このような曲面では、

Γ(ガンマ)≠0

になります。

つまり、

Γ(ガンマ)≠0

であれば面は平らではない、というのは以前の記事に述べたとおりです(注1)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/einstein_tensor.png

ところが・・・

一般相対性理論では、実は、円柱の側面のような曲がりは"平面"として取り扱いたい。

なぜなら、円柱の側面が布で覆われているとすると、それを剥がして完全な平面にすることができます。

(数学者は、これを、表面に3角形を描くと内角の和は180度になる、とか、表面に円を描くと円周は直径の3.14(π)倍になる、とか言います)

アインシュタインによると、このような(円柱の側面のような)曲面は、一見、曲がってはいるけれども、結局、平面だというんですね。

 

一方、球の表面はホントウに歪んでいます。球の表面が布で覆われているとすると、それを剥がして平面に広げようとしても、皺だらけになって平面にできません。

(球の表面に3角形を描くと内角の和が180度になりませんし、円を描くと円周が直径の3.14(π)倍になりません)

曲がりを診断するツール Γ(ガンマ)は、円柱の側面のような曲がりも、球の表面のような歪みも、両方とも「曲がり」(Γ(ガンマ)≠0 )として判断してしまうという欠点がありました。

 

そこで、アインシュタインは、球の表面のような歪みのみを「曲がり」として診断できるよう、Γ(ガンマ)をさらに微分したりして新しい発展版の G にしました(注2)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/einstein_tensor.png

(ここは、わかりやすさを優先し、かなりデフォルメして書いています。きちんと勉強したい方は必ず成書をあたってください。数式が得意な人以外、あまりおススメできませんが・・・)


結果、非常に簡単に言ってしまうと、Γ(ガンマ)を微分して2倍したものが G00 になりました(注3) 。

Γ(ガンマ)を微分して2倍する

という作業を、微分∇を使った式であらわすと、2∇ Γとなりますつまり、G00

G00 ≡ 2∇ Γ

とあらわすことができます(正確には完全にイコールではないので記号を=ではなく≡としました)。

これを覚えておいてください。

 

次回の記事では、最後の砦、右辺にある T00 について解説します!

 

☜この記事をシェアする

 

(つづく)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8

(もどる)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6


(注1)

たとえ面が平面でも、座標軸自体が湾曲していれば(たとえば極座標では)、Γ(ガンマ)≠0 になります。つまり、Γ(ガンマ)=0 なら必ず平面なんですが、Γ(ガンマ)≠0 のときは曲面である・・・とはいいきれません。

 

(注2)

ある座標空間に浮かぶ矢印を1本イメージしてください。座標系(座標軸)がどんなに変化しても、この矢印自体は動かないものとします。このように、矢印の長さと方向をどんな座標系においても正確に表現しつづける、そんな数学的ツールをベクトルといいます。ベクトルには成分がありますが、座標軸が変化しても、座標変換の規則にしたがって、ベクトルの成分を自動的に変化させれば矢印は動きません。ベクトルと言えば矢印みたいなものにつけられた名前のような気がしますが、本来、ベクトルというのは座標変換に従うものにつけられた名前で、そんなベクトルのテクニックを使えば、どんな座標系であろうとも、絶対空間に浮かぶベクトルのようすを正確に表現しつづけることが可能になります。

一方、一般相対性理論では、ベクトルの成分が数字ではなくそれぞれベクトルになっている、まるでベクトルの入れ子のようなものを考えます。そういうベクトルの入れ子のようすが、まるで通常のベクトルのようにどんな座標系においてもまったく同じように再現される、そういうことを可能にする数学的ツールのことをテンソルといいます( ⇒ テンソルについて)。テンソルのテクニックを使うと、たとえば2つのベクトルの間にある関係性をテンソルという形式に封印することができます。このメリットはどれだけ強調しても強調しきれないほど重大で、いったん、2つのベクトルの関係をテンソルという形式に落とし込んでしまうと、ありとあらゆる座標系に対して、その2つのベクトルの関係性を維持することができるようになります。

面の曲がりをあらわす曲率も、つきつめるとベクトルの関係性として表現することができます。なのでテンソルとして封印できます。曲率 G はテンソル形式になっていますが Γ(ガンマ)はテンソルではなく座標変換に耐えられなかったのです。

 

(注3)

ニュートン力学が通用するような範囲内(Newtonian limit)で、Γ = (1/2)∇g00 と、G00 → ∇2g00 (g:計量テンソル)を連立させると、G00 ≡ 2∇Γ が得られます。より厳密には、G00 → 2∇Γ と書くべきところかもしれません。専門の方におかれましては、この記事は一般人向けに書いていますので、その主旨をご理解いただき、ご了承ください(;;;´Д`)。

ちなみに、Γ ≡ F と Γ = (1/2)∇g00

の二つの式から、g00 (計量テンソル)を微分したものが力(力を積分したものがg00)に相当することがわかります。

力の積分はポテンシャルエネルギー(重力ポテンシャル)ですので、g00 (計量テンソル)は、いわゆる重力ポテンシャルに相当するのだ、というアイデアにつながります。

同様に、g00 (計量テンソル)の2階微分、すなわち、力(加速度)を1階微分したものが G00 に相当します。つまり、G00 の意味は力(加速度)の「変化」です。


以下、興味のある方のみ。

曲率 G が導かれたいきさつを、一般の人向けにわかりやすく解説してみたいとおもいます(正確さを犠牲にした叙述的な説明です。興味がない方、すでに知っている方は読みとばしてください)。

まず・・・

正規直交座標を想像してください。

その上に曲線が描かれています。

その曲線のまがり具合は、いわゆる 偏微分(∂)であらわされます。

その計算結果がゼロだと直線です。

すなわち、直線は

∂ = 0

という式であらわされます(正規直交座標系)。

ところが、座標軸が曲がっていたりすると、そうとも言えません(例:斜交座標、極座標など)。

直線でも

∂ = 0

とは限らないのです。

そこで、その偏微分(∂)の結果を補正するのが補正係数 Γ(ガンマ)です。

補正係数 Γ(ガンマ)によって補正された微分を共変微分(∇)と言います。

共変微分(∇)を使えば、曲がったり歪んだりした座標軸であっても

∇ = 0

であれば直線であると言えるようになりました。

すごいのは、この共変微分(∇)がテンソルという形式になっていることです( ⇒ テンソルについて)。

どういうことかというと

共変微分(∇)の結果は、座標の違いを乗り超えます。

つまり、ある座標系で ∇ = 0 となるような直線は、他のすべての座標系でも直線(∇ = 0)となります(ちなみに、こういう性質を共変と言います)。

この共変微分(∇)の開発によって、直線は(座標軸にかかわらず)

∇ = 0 

である、と言えるようになりました!

ところが・・・共変微分(∇)も万能ではなかったのです。

共変微分(∇)が通用しない座標系があります。

たとえば球面のような(・・・なんというか曲がっているだけではなく"歪んだ" ・・・)表面上の座標系です。

そのような座標上では、あきらかな直線でも共変微分の結果が ∇ = 0 とならない場合があります。というより、歪んだ表面で直線の共変微分(∇)を計算すると、その比較の仕方によって ∇ = 0 になったり、ならなかったりします。この共変微分(∇)の不一致は、球面のような "歪んだ" 座標系では、実はどうやっても補正できません。そこで、そういう場合には、もう補正はあきらめます。そして、その共変微分(∇)の不一致(差)を、むしろ、その面がもたらす特性、すなわち "曲率" という名で受け入れてしまいます。

そうして誕生したのが曲率 G です。別名、アインシュタインテンソルともよばれますが、アインシュタインが考案したというより、当時の天才数学者たちがすでにそういう空間幾何学を作り上げていたんです。

曲率 G は16個の数字からなる2階のテンソルになっていて、4次元的な空間の空間の歪みをあらわしています。テンソルですから座標系に依存しません。G00 はその曲率 G の第一成分です。

以上、曲率 G が導かれた簡単ないきさつですが、正確さについてはかなり犠牲にしています。

興味をもたれた方は、専門書でさらに正確さを極めてください。

 

☜この記事をシェアする

 

(つづく)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8

(もどる)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6


« アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6 | トップページ | アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その6 | トップページ | アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その8 »