【超解】アインシュタインの特殊相対性理論 これでわからなかったらあきらよう! その1

ビルの屋上から鉄球を落とすと・・・
危ないですが(苦笑)、とりあえず、この鉄球の様子を観察してみます。
この鉄球がおちていく様子を連写して時系列に並べると、こんな風になるでしょうか。
これをグラフにすると、下図のような放物線で表すことができます。
横軸が時間、縦軸が落下距離ですね。
高校物理で学んだような・・・
では、この鉄球を、一定の速度で「動いている」カメラで撮影したらどうなるでしょう?
たとえば・・・
鉄球が落ちる方向に「動いている」カメラで連写撮影すると、鉄球の運動はどのようにみえるでしょうか?
ちょっと、想像しづらいかもしれませんが、
鉄球の落ちはじめに、ほんの一瞬かもしれませんが上に向かって上昇するように撮影されるはずです。
グラフであらわすと、こんな感じ?
えっと、今、何が言いたいのかというと
撮影者がうごくとグラフがズレる
ということ。
なんか、物理が得意な人にとってはあたりまえな話でもうしわけありませんが、
動く観察者からみると、運動の様子は違ってみえる・・・
と、考えるのはごく普通のことです。
ところが・・・
アインシュタインによると、それは間違いなのだそうです。
どういうことでしょう・・・?
まず第一に、アインシュタインによると、
この落下曲線は、放物線ではありません。
高校物理で「落下運動=放物線」と教わった人たちには、
いきなり「はぁ???」な話ですよね\(;゚∇゚)/
でも、まぁ、こう考えてください。
そもそも、放物線って、実は円錐曲線Conic Sectionという曲線グループの一種なんです。
円錐曲線はどれも、グッとカーブしている部分は重なり合っていて、その部分ではほとんど区別がつきません。
なので・・・
局所的には、物体の落下運動は、放物線でも双曲線でも楕円でも、どれを使ってあらわしてもいいんです。
ニュートン力学では、
自然落下運動は放物線
という理解で何の問題もなかったんですね。
だから放物線ということにしてるだけで。
ところが・・・アインシュタインによると、この落下運動は
放物線ではなく双曲線
なのだそうです。
アインシュタインが言うには、
落下運動=放物線ってのは、あくまで(地球上とか、数分間という)限定的な観察であって、
この運動を、宇宙規模というか、光年単位というか、気の遠くなるような規模で観察すると、
その運動は双曲線である・・・と。
物体の落下運動は放物線ではなく、このような双曲線に従うという主張が、まさに相対性理論の根幹なんです。
(注意してほしいのは、横軸は時間です。地球上でボールを投げたときに観察される空間的な軌道のことを言っているのではありません。ちなみに、地球上で投げたボールの軌跡も実は正確には放物線ではなく、地球を中心とする楕円曲線(これもConic Sectionの一つ)になります。局所的には放物線でいいんですけどね(o^-^o))
グラフが原点=落下開始点を通らない理由は後述します。
そして、さらに驚くのは
このように、物体の落下運動を双曲線だと考えると・・・
静止している人が観察した落下運動も動いている人が観察した落下運動も、どちらも
同じ
だというのです。
どういうことでしょう?
この記事では、その理由をゆっくり解説します。
最後には、アインシュタインの思惑を完全に理解できているはずです。
まず・・・
じっとしている観測者の視点を座標(xt座標)にあらわしてみます。
次に、移動している観察者の視点を座標にしてみます(x't'座標)。
いきなり突拍子もない話ですが・・・
このように、特殊相対性理論によると、移動している観察者の座標軸は動くスピードにしたがって"歪み"ます。
これをローレンツ変換とか何とか言って、相対性理論を勉強している人は必ず計算させられたりします。
しかし、この記事の読者にその必要はありません。
何か知らないけど、歪むものだ・・・でOKです。
これだけ座標軸が変化するのですから、
観察者の視点によって、ものの見え方(座標)が違ってみえるはずですよね?
その通りです。
どのくらい違うのか、ある事象Aについてみてみましょう。
(めちゃくちゃ違うってことが言いたいだけなので、それがわかればここは飛ばしてもいいんですが・・・あとで大事なので、めんんどうでも次の5つのグラフ絵だけ見てください)
静止している観察者には、事象Aは、TA年後に距離XAの地点でおこる事象A(TA, XA)にみえます。これをグラフにあらわすと以下のようになります。
単純に考えてください。
TA年後に距離XAの地点でおこる事象A(TA, XA)です。
では、同じ事象Aを、等速運動をしている観察者がみると・・・どうみえるでしょう?
これも単純にグラフから読み取ってください。T'A年後に距離X'Aの時点で起こる事象A(T'A, X'A)・・・にみえます。
重ねるまでもなく、事象Aがおこるタイミング、距離がだいぶズレてしまうのが絵的にわかると思います。
ローレンツ変換の影響です。
実際に、動いている人からは、事象Aがどう見えているのかは、グラフを直交座標に戻してみるとよくわかります。
これが動いている人から見た事象Aです。もとのグラフと重ね合わせてくらべてみると・・・
観察者が静止しているか運動しているかによって、同じ事象Aが(TA, XA)にみえたり(T'A, X'A)にみえたりするわけです。
これは感覚的には、あたりまえといえばあたりまえな気もします。さほど驚くこともありません。
さて。ここからが本題です。
自然落下運動について考えてみましょう。
アインシュタインによると物体の落下運動は以下のような双曲線であらわされることは前述したとおりです。
同じ物体の落下運動を、等速移動している観察者の視点からみてみましょう。
そのようすは、歪んだx't'座標からみたものになります。
こんな感じです。
実際に、動いている人からは、この双曲線がどう見えているのでしょうか?
それは、このグラフを直交座標に戻してあげなければよくわかりません。
そこで、このグラフを直交座標に戻してあげます。すると・・・
⇓
あれれ?
直交座標に戻すと(動いている人の視点からみると)
同じ双曲線
になりました。
これが、アインシュタインが主張している内容です。
静止している観察者にとっても、移動している観察者にとっても、
落下運動は"同じ"曲線(双曲線)であらわせる・・・
これを専門用語で、物理法則はローレンツ変換に対して不変であると言ったりします。
つまり・・・物体の落下運動って・・・
ありとあらゆる観察者とって同じ双曲線なんです。
これこそが
物体の運動のようすは観察者によって変わらない(はず)
・・・という相対性理論の核心です。
考えてみてください。
人間ってのは、自分が動いているのか静止しているのか、
まわりの状況から判断します。
自分こそは宇宙の中で絶対に静止している存在だ・・・などと、断言できる人がいるでしょうか?
自分は静止していると信じていても、実は動いているかもしれません。
動いている人があそこにいる、と思っても、ほんとは
あっちが静止していて、自分のほうが動いているのかもしれない・・・
いや。
もはや、誰が静止していて、誰が動いているのか・・・そんなこと考えること自体が無意味です。
そんなことより(=動いていようがいまいが)、リンゴが木から落ちる様子に違いはない!
これが物理学者にとっては大切なことなのです。
誰もが、相対的な観察者である・・・これが、相対性理論の"相対性"という言葉の本質的な意味でしょう。
物体の落下運動(双曲線)がローレンツ変換に対して不変であることをあらわす動画も発見しました。百聞は一見に如かずです。
(What is time? Does gravity actually slow down time? https://www.quora.com/What-is-time-Does-gravity-actually-slow-down-time#!n=12、Spoonfed Relativity. http://spoonfedrelativity.blogspot.jp/)
この双曲線とSpace-Time Diagramを組み合わせたダイアグラムがあります。リンドラー座標といいます。
(つづく)
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