【超解】アインシュタインの特殊相対性理論 これでわからなかったらあきらめよう! その3
前の記事で述べた、(ある定数)= 静止質量m0 であることの証明
(ある定数)を頂点に持つ双曲線は、
(ある定数)を頂点に持つ放物線と、
局所的には区別はつきませんから、局所的には同じはずです。
そこで、放物線
x = 1/2αt2
をエネルギーeと運動量pの関係式に変形しましょう。
具体的には両辺に力Fをかけます。
F・x = F・(1/2)αt2
この式と、F = m0・αより、αを消去すると、
F・x = 1/2・(1/m0)・(F・t)2
となります。
F・x = e、F・t = p ですから、
この式は、
e = 1/2・(1/m0)・p2
と書き直せます。
この放物線の式が、(ある定数)だけずれた式は、
e = 1/2・(1/m0)・p2 + (ある定数)
です。
この放物線の頂点が双曲線と一致しているはず・・・
と考えます。
すなわち、
(e)2 - (p)2 = (ある定数)2
の双曲線と
e = 1/2・(1/m0)・p2 + (ある定数)
の放物線が頂点を共有しているということになります。
いいかえると、
この二つの方程式を連立させた式は、頂点において重解をもちます。
重解を持つ条件を求めて式を解いていくと(計算めっちゃ省略^^:)、
(ある定数)= 静止質量m0
と算出されます(重解の判別式 = 0を利用します)。
静止質量m0 が、エネルギー軸の切片としてあらわれることに注目してください。
・‥…━━━☆
さらに補足
sの正体
(ある定数)= 静止質量m0
であるとすると、
(e)2 - (p)2 = (m0)2
ということです。
これと、もともとの双曲線の式
x2 - t2 = s2
を比較してsの正体を暴いてみましょう。
x2 - t2 = s2
の両辺にF2をかけると
(Fx)2 - (Ft)2 = (Fs)2
ですから
(e)2 - (p)2 = (Fs )2
ということになります。
これと、前述の式、
(e)2 - (p)2 = (m0)2
を比べれば、
Fs = m0
であることがわかります。F = m0αですから、
s = 1/α
です。
これが定数sの正体です。下のグラフのx切片(頂点)を表しています。
1/αというのは加速度の逆数で、「動きにくさ」の指標です。
つまり、双曲線の頂点と原点の距離sは、「その物体の加速されにくさ」( = 慣性質量)をあらわしていることがわかります。
(みなさんが、「ビルの屋上から落ちていく鉄球」の時間経過をグラフに書くと、まず原点を頂点とする曲線を書くことになると思いますが、出来上がった双曲線をみると、実はその「双曲線の中心」(物体の最初の位置)は、ビルの屋上からずれたところにあり、唖然とするでしょう。質量のある物体はspace time diagram上、動いてなくてもすでに少し進んだところにあるのです・・・)
一方・・・
静止している座標系における点(x, t)が、等速運動している観察者からみて(x', t')にみえるとき、
x2 - t2 = (x')2 - (t')2 = s2
が、常に成り立ちます。
たとえば、下図のx-t座標系において、
x2 - t2 は、 (x')2 - (t')2 と等しくなる、というのがローレンツ変換です。

この絵的な意味は、
ある事象Aが、ローレンツ変換されると、必ず同じ双曲線の上で移動する
ということに他なりません。
ここから、このことと非常に紛らわしい、しかし非常に重要な話をします。
上記のこととは別に、
リンドラー座標上の任意のある2点、点1(x1, t1)と点2(x2, t2)を、
静止系から観察したときと(青)、
等速運動系から観察したときで(赤)、
次の関係式が成り立つことがわかっています。
|⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 | = |⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 | = ⊿(s1- s2)2
|⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 | とは一体なんでしょう?(下に説明図あります)
2乗の差とは・・・?
2乗の和{|⊿(x1 - x2)2 + ⊿(t1 - t2)2 |}なら、ピタゴラスの定理から2点の距離であることが理解できますが、
2乗の差とは何なんでしょう?
実はこれ、専門家によると、
時間という虚次元が絡んだ空間(通常の3次元ユークリッド空間に対して、4次元ミンコフスキー空間といいます)における、点1(x1, t1)と点2(x2, t2)の距離をあらわします。
虚次元がからんだ空間における距離ですから、下のリンドラー座標に示された2点間の"みため"の距離ではありません。
念のため。
同様に、|⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 |とは、
ミンコフスキー空間における等速運動系の、点1(x1, t1)と点2(x2, t2)の距離だそうです。
繰り返しますが、"みため"の距離ではありません。
なんだかごまかされた感じがするかもしれませんが、
どちらの系からみても、
⊿(s1- s2)2 = 観察者によらず同じ値
という点が重要です。
つまり、
|⊿(s1- s2)| = 観察者によらず同じ値
ということ・・・
これは、あたりまえのことで、ある物体の2点間の物理的な距離は、2点が移動しない限り変化するはずがありません。
静止系からみても、等速運動系からみても、ミンコフスキー空間における2点の距離は変わらないということです。
ミンコフスキー空間における2点の間を、ちょっと線で結んでみました・・・
赤点であらわされた2点の間の距離。
青点であらわされた2点の間の距離。
実際には虚次元がからんだ空間内での距離なので、そんな距離は2次元的なマンガ図では絶対にあらわせないのですが・・・
青の線が赤の線、どっちが長いのか?
それを、どうしても絵的に理解したいというならば・・・
誤解をおそれずにいえば、
2点の間に存在する"「双曲線の数」"を考えるといいのです。
双曲線が、地図の等高線に見える人には、2点間の高低差とイメージするといいでしょう・・・(*ノv`)
もし、2点が同じ双曲線上にあるならば、⊿(s1- s2) = 0・・・
その2点のミンコフスキー空間的距離はゼロ、つまり2点は区別できなません(2点にみえているけど、実は同じ物体です)。
すなわち、2点のミンコフスキー空間的距離⊿(s1- s2)をどうしても絵的にイメージしたいならば、それは2点の間にある「双曲線の数」あるいは「高低差」のようなものであり、
重要なのは、その「双曲線の数」あるいは「高低差」は、観察者によらず同じになる・・・という理解です。
赤の線の高低差は、観察者によって変わらないし、青の線の高低差も観察者によって変わらないのです。
(赤の点の座標や青の点の座標は、観察者によって変わるのに・・・)
この式は、当然、 ⊿(x1 - x2) = 0 のときにおいても成り立ちますが、
⊿(x1 - x2) = 0 というのは・・・、いいかえると、物体がその座標系において、x方向にじっとしていて位置を変えないということです。
x方向に動かなくても、時間はすすみます。
モノってのは、物理的に動いていないようにみえても、ある座標の上にどんなにじっとしていても、ミンコフスキー空間の中では時間の方向(虚次元の方向)に移動しています。
x方向にまったく動いていないとき、
⊿(x1 - x2) = 0
になります。
しかし、Space-Time Diagram(ミンコフスキー空間)上では、
x方向にまったく動いていないつもりでも、必ず、時間のt方向に動いています。
下図の物体Aがその例です。
x方向に静止しているつもりでも、時間が経過する限り、t方向には動いてしまいます。
位置(x 座標)は変わらなくても時間だけはどんどん進むからです。
じっとしているつもりでも、時間が進み、双曲線をどんどん乗り越えます。
⊿(x1 - x2) = 0 を、上記のややこしい式に代入すると、次の式が成り立ちます。
⊿(t1 - t2)2 - 02 = ⊿(s1- s2)2
⊿(t1 - t2) = ⊿(s1- s2)
つまり、じっとしていても、その物体の内部で時間が経過し、
その物体内部で経過した時間⊿(t1 - t2)が、⊿(s1- s2)である
ということです。
先ほど紹介したイメージでいえば、x方向に静止しているうちにのりこえた「双曲線の数」が⊿(s1- s2)・・・ということになります。
x方向にじっとしていても、時間の方向にはどんどん移動しているわけで、その移動中に、⊿(s1- s2)本の双曲線をのりこえた、ということになります。
同様に、等速で動いている観察者からみて、ある1点にとどまっている物体があるとき、
⊿(x1 - x2) = 0
とあらわされます。
その物体はSpace-Time Diagram上、やはり等速運動系におけるt'軸に平行に移動しているとみなされます。
そして次の式が成り立ちます。
⊿(t1 - t2)2 - 02 = ⊿(s1- s2)2
⊿(t1 - t2) = ⊿(s1- s2)
となり、やはり、等速運動している観察者からみて1点にとどまっている物体の、その内部で経過している時間⊿(t1 - t2) は、⊿(s1- s2)に等しいことになりました。
大事なことを言います。
つまり、観察者の視点が動いていようが静止していようが、
ある場所にじっとしている物体が、ミンコフスキーの時空間を虚次元(時間)の方向に移動する間に乗り越える双曲線の数は同じ・・・なんです。
結局、それぞれの座標系・・・というかあらゆる座標系で「じっとしている物体」の内部で経過していく時間は
⊿(s1- s2)
と表されます。
これを固有時⊿τといいます。
これを内部時間と考えると、これこそが、それぞれの座標系に依存しない"絶対時間"だと考えることができます。
結局、
|⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 | = |⊿(x1 - x2)2 - ⊿(t1 - t2)2 |= ⊿(s1- s2)2
という式の意味は、
ある物体が、点1から点2に移動するのにかかった時間を計ると、その時間が観察系ごとに違うようにみえても、
ミンコフスキー空間でのりこえた「双曲線の数」あるいは「高低差」、すなわち絶対時間として考えると、座標系に依存しない空間時間的距離⊿(s1- s2)で表され・・・
逆に言うと、
物体がのりこえる「双曲線の数」を比較すれば、それぞれの時間経過の長短を比較することができる・・・
ということになるでしょう。
あなたが光速に近いロケットに乗ると、地球の人からはあなたはいつまでも若くみえるでしょう。
でも、ロケットに乗っているあなた自身が感じる年のとり具合(内部時間=あなたから見たロケット内の時計の進み方)は、実は地球上となんら変わらないのです。
おすすめ記事
最近のコメント