E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 3
・‥…━━━☆
2.運動していない物体(静止質量m0)
この記事では、静止している物体の総エネルギーを計算してみます。
静止している物体の運動量 p は0(p = m・v = m・0 = 0)ですから
総エネルギーの式
E2 = (m0c2)2 + (pc)2
に p = 0 を代入すると
E2 = m02c4 + 0
これより、静止している静止質量m0の物体の総エネルギー
E = m0c2
が得られます。
簡単でしたね。
でも・・・
静止しているものにエネルギーなんてあるのでしょうか?
それをアインシュタインが発見したんです。
この世に存在するだけで、存在の「エネルギー」とでもよぶべきエネルギーがあるんです。
言いかえると、
あらゆる物体は、エネルギーなしには存在できないし
物体とは、エネルギーが目に見える形になったもの
でしかありません。
逆に考えると、
ある物体がこの世から消失すると(=質量を失うと)、このエネルギーが解放されますよ~~~
☆(((≪*☆*BOMB*☆*≫)))☆
ということですΣ(゚д゚lll)アブナッ !
実は、静止している物体の総エネルギーは、次のようにしても得られます。
総エネルギーの式
E2 = (m0c2)2 + (pc)2
に、アインシュタインによる運動中の物体の質量mと、静止質量m0の関係式
m = m0/(1 – v2/c2)1/2
を代入し、あらかじめ運動質量m(運動量p)を使わない式に変形しておきます。
E2 = m02c4 + m02v2c2 /(1 – v2/c2)
E2 = m02c4 /(1 – v2/c2)
E = m0c2/(1 – v2/c2)1/2
これに静止している物質の速度 v = 0を代入すると、静止している静止質量m0の物体の総エネルギー
E = m0c2
が得られます。
結局・・・
静止している物体の場合、静止質量m0を使って相対性理論の式を書き換えれば、いわゆる「E = mc2」の形になります。
静止している物体は、速度 v =0で運動中の物体とも考えられますから、静止中の物体の総エネルギーを、運動質量mを使ってあらわしても、当然
E = mc2
となります。
これは
運動中の物体の質量mと、静止質量m0の関係式
m = m0 /(1 – v2/c2)1/2
から
v = 0 のとき
m = m0
が、あきらかですから
静止=速度ゼロの運動
というわけで、当然といえば当然ですね(^-^;
まとめると・・・
<(`^´)> エッヘン
「ある物体が運動していようが、静止していようが、ある瞬間の物体の質量●がわかれば、その瞬間の物体の総エネルギーは、常にE = ●c2として書き表わすことができる」
です。
なんか、すごいと思いませんか???
有名な「E = mc2」の式・・・
とてもシンプルな式ですけど、「m」が運動質量であるとも静止質量であるともいいがたい。うまく定義できないところがモヤモヤしますが、逆にいうと、どちらでも成り立つところがすごいです・・・
あえていえば、この「m」は、物体が静止していようが運動していようが、「その瞬間の物体の質量」といえます。
静止状態を、速度ゼロの運動と考えれば、「E = mc2」の式における「m」は、つねに運動質量と言ってもいいのかもしれません・・・
そう考えると、
よく、E = mc2 の式は、静止している物体(p = 0)のときのみ成り立つ、という解説がよくありますが、そうではないですよね。むしろ運動しているときだけ成り立つ、といえるわけです(v =0の運動、つまり静止を含む)。
さて、
次の記事では、質量ゼロといわれる光のエネルギーについて考えてみましょう。
(つづき)
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