« E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 3 | トップページ | 【超解】アインシュタインの特殊相対性理論 これでわからなかったらあきらよう! その1 »

2015年5月 3日 (日)

E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 番外編

Fantasy2861815_1920

・‥…━━━☆

3.光の総エネルギー

光速で移動する「ある物体」があるとします。

その物体がピタッと止まった時、その物体の質量はどのくらいでしょうか?

アインシュタインの相対性理論によると、光速で移動する物体に静止質量m0があるとすれば、それは「0」以外にありえません。

なぜなら、相対性理論によると、運動中の物体の質量mと静止質量m0には

m = m0 /(1 – v2/c2)1/2

の関係がありますから

静止質量m0が「0」でないと、たとえそれがどんなに小さな値でも、その運動質量mは、光速で無限大になってしまうからです。

静止時になんらかの質量をもつ物体は決して光速になれない、ともいえます。

すなわち、光速で移動するモノがあれば、その静止質量m0は、必然的に「0」以外にありえません。

このことから、光の静止質量m0 は「0」だと考えられています。

しかし・・・

これはあくまでも理論的な話であって、光の速度というのはどんな状況でも不変というのが大前提ですから、少しでも速度を落とせば、それはもはや光ではありません(アインシュタインによる光速度不変の原理)。つまり現実的には、どんな方法を使っても、光の静止質量m0を知ることはできないのです(→光を止めようとしたらどうなるか?)。

また、光は発射された直後から光速であり、その後にどんな力を加えても、決して加速されることはありません。ですから、慣性質量(inertial mass)も測定不能です。

そういう意味では、光の静止質量m0は「0」というより、「ない」といったほうが適切かもしれません。

 

しかし、まぁ、静止質量m0が「ない」では考察のしようがないので、ここでは光の静止質量m0を「0」 として話をすすめてみましょう。

つまり、

m0 = 0

です

これを総エネルギーの式 

E2 = (m0c2)2 + (pc)2

に代入してみます。

すると

E2 = 0 + p2c2

E = pc

という式が得られます。

これが光の総エネルギーをあらわす式です。

ψ(`∇´)ψ

残念ながら、E = mc2の形にはなりませんでした。

しかし、それまでの観測から光子「1個」あたりの総エネルギーは

E = hf = h(c/λ) = (h/λ)・c = pc

ということがわかっていましたので、その結果にピタリと一致したところが相対性理論のすごいところです。

 

https://remedics.air-nifty.com/photos/hawaii/electromagneticwaves1526374_1280.png

逆に言えば、この結果から、光の静止質量m0は、やっぱり「0」でいいんだね!ということになったのです。

 

でもなぜ、質量「0」の光にエネルギーがあるのでしょう?

それは・・・

光には運動量があるためです。

質量「0」なのに運動量?なんで?・・・と、一瞬、不思議に思う人もいるかもしれませんが、

光には、

電磁波としての運動量

があるんです。

(粒子としての運動量は p = mv であらわされますが、電磁波としての運動量は p = h/λ という式であらわされます)

 

ちなみに

光の運動量を

p = mc (v = c)

と仮定すると、光の運動質量は m です。

これを先ほど得られた式 E = pc に代入してみると、

E = pc

E = (mc)c

E = mc2

と、なります。ψ(`∇´)ψ

こうしてみると、実は光においてさえも、E = mc2 の関係が、概念的には、成立しているわけです。

エレガントとしかいいようがありません。

 

おもしろいことに、この考察から

光の運動質量 m は、ほんとうに

m = E/c2 (← 上記 E = mc2 より)

であると考える人がいます(重力質量(gravitational mass)と呼ぶべき?)。

 

どういうことでしょう?

仮に・・・

静止質量 m0 が「0」の粒子がここにあるとします。

どんな粒子でも運動するとその質量が増える、というのが特殊相対性理論ですが、

静止質量が「0」の場合は、どんなにその粒子を速くうごかしても、限りなく光速に近づけても、

その粒子の運動質量 m はずっと「0」のままです。なぜなら

m = m0 /(1 – v2/c2)1/2

の関係があるのですから(もしくは、Teacher様のご指摘のように v = c なら不定になります)。

なので、光の運動質量 m が

m = E/c2

である

というのは、にわかには受け入れがたいことです。

 

ところが。

エネルギーEの光を鏡張りの箱に閉じ込めると、

なんと、E/c2だけ、その箱の静止質量(慣性質量)が増える

というのです。

!?(゚〇゚;)マ、マジ...!ナノ?

現実的には反射率100%の鏡の箱なんて存在しないでしょうけれども・・・

 

動き回る光を箱の中に閉じ込めると、その箱の質量が増える!?

想像してみてください。

エネルギーEの光が、反射しながら箱の中を動き回っている・・・

と考えると、

増えた箱の静止質量のもとになっているのは、箱の中で動き回っている光の運動質量(重力質量)m

以外にありません・・・

質量が「ない」はずの光を閉じ込めると質量になる・・・?

えっと、もしかすると

エネルギーと質量は等価である・・・

って、そういうことなのでしょうか!?

エネルギー = 質量 = 光?

この世のありとあらゆるモノ・物質の正体は、「閉じ込められた光」なのかもしれません。

 

この世はほんとに不思議な・・・実に美しい不思議に満ちあふれています。

「あ〜ぁ、なんかおもしろいことないかなぁ~」なんていっている場合じゃないのです。


(はじめにもどる)

E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 1

(特殊相対性理論はわかったので、今度は一般相対性理論に挑戦する)

アインシュタインの一般相対性理論 10話で完結 その1


おすすめ記事

« E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 3 | トップページ | 【超解】アインシュタインの特殊相対性理論 これでわからなかったらあきらよう! その1 »

コメント

◆E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 4
の「3.光の総エネルギー」の内容に関して。

「光の静止質量 m0 が「0」ならば
m= m0/(1 - v^2/c^2)^(1/2) ……(1)
より光の運動質量 m も「0」です」
の説明は間違いと思います。

 なぜなら光に関して(1)の式を適用しようとしているのだから、
v=c ………(2)
(2)を(1)に代入すると、(1)の分母=0となり
(1)は0/0となり、不定になります。
従ってm=0とは限りません。

>Teacherさま
コメントありがとうございます。
ご指摘の通りだと思いましたので、記事内容を訂正いたしました。
m0 = 0 のとき、lim (v--->c) m0 /(1 – v2/c2)1/2 = 0
という極限値の計算の記憶が頭にあり、つい0としてしまいました。
ありがとうございました。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« E = mc2の式 アインシュタインの特殊相対性理論 一歩すすんで理解する 3 | トップページ | 【超解】アインシュタインの特殊相対性理論 これでわからなかったらあきらよう! その1 »