2変数関数の微分について
この記事は、1変数関数ではなく2変数関数の話です。
2変数関数には
スカラー値関数(Scalar valued function)
と
ベクトル値関数(Vector valued function)
があります。
線素にも、スカラー線素(Line element scalar)とベクトル線素(Line element vector)の2種類があるので、結局、2変数関数に対しては、以下の4つの微分を考えることができます。
微分1.スカラー値関数(Scalar valued function)をスカラー線素(Line element scalar)で微分する
微分2.ベクトル値関数(Vector valued function)をスカラー線素(Line element scalar)で微分する
微分3.スカラー値関数(Scalar valued function)をベクトル線素(Line element vector)で微分する
微分4.ベクトル値関数(Vector valued function)をベクトル線素(Line element vector)で微分する
微分1は、ふつうの「偏微分」です。
微分2は、ふつうの「ベクトル場の微分」です。
微分3は、なんというのかわかりませんが、結果はいわゆる「勾配ベクトル」になります。
微分4は、・・・難しいです。。。
今回、ちょっとこれらについて考察してみました。
そもそも・・・
(x,y)からなる2変数のスカラー値関数(Scalar valued function)とはどんなものかというと・・・
のような式になります。
(x,y)に数値を入れると、ある数値(スカラー)がでてくる式になります。
こんな2変数スカラー値関数(Scalar valued function)が何をあらわしているかというと・・・
スカラー場です。
スカラー場とは、(x,y)座標の1点1点についてスカラー(数字)が設置されているような場です(下図のようなイメージ)。
それぞれの数字(スカラー)を"高さ"のようなものとみなし、その値を縦軸(z軸)にとれば、スカラー場は下記のような3次元空間に浮かぶ「曲面」と考えることもできます。
2変数スカラー値関数(Scalar valued function)の微分とは、この曲面の傾きを考えるもの・・・と言えるでしょう。
一方、2変数のベクトル値関数(Vector valued function)のイメージは、ベクトル場です。
式で表すと、たとえば
みたいなものです。
(x,y)に数値を入れると、ベクトルになります。
ベクトル場とは、(x,y)座標の1点1点に二つの値が設定されているような場です(下図のようなイメージ)。
それぞれの数字のセットをベクトルとみなして矢印ベクトルであらわせば、この関数のイメージは下図のようなベクトルの集合になるでしょう。
ベクトル値関数(Vector valued function)の微分とは、このベクトルの横向き(x軸方向)の変化の様子、縦向き(y軸方向)の変化の様子を考えることになります。
イメージするのはむずかしいです。
以上が、スカラー値関数(Scalar valued function)とベクトル値関数(Vector valued function)の概要です。
一方、
線素(Line element)にも、スカラー線素(Line element scalar)とベクトル線素(Line element vector)があります。
これらの組み合わせにより、以下の4つの微分を考えることができます(積分を考えることもできます)。
微分1.スカラー値関数(Scalar valued function)のスカラー線素(Line element scalar)による微分
微分2.ベクトル値関数(Vector valued function)のスカラー線素(Line element scalar)による微分
微分3.スカラー値関数(Scalar valued function)のベクトル線素(Line element vector)による微分
微分4.ベクトル値関数(Vector valued function)のベクトル線素(Line element vector)による微分
微分1は、一般には偏微分といわれる微分です。偏微分の結果は2つのスカラーになります。微分によって得られた2つのスカラーは偏微分係数とよばれます。全微分に必要な係数です。
微分2の結果は、2つのベクトルになります。いわゆるベクトル場の微分です。
微分3の結果は、微分1の結果をベクトルにまとめたもので、ひとつのベクトルになります。勾配ベクトルとよばれます。
本質的に ∇(ナブラ)
を2変数のスカラー値関数(Scalar valued function)に作用させることと同じです。
微分4の結果は・・・難しいです。
微分2の結果がまとまり、ひとつのテンソルになります。ヤコビ行列はこうして得られるテンソルの代表例です。このように、ベクトル場をベクトル線素で微分するとひとつのテンソルになります。
具体例をみてみましょう。
次のような2変数関数を考えます。
スカラー値関数(Scalar valued function)とベクトル値関数(Vector valued function)です。
微分1
スカラー値関数(Scalar valued function)
をスカラー線素(Line element scalar)で微分してみましょう。
すると、以下のように、2つのスカラー値関数数(Scalar valued function)になります。
たとえば、点(2,3)で微分した結果は、x方向への傾きが7,y方向への傾きがー1という2つの数値です。これを偏微分係数といったりします。
微分2
ベクトル値関数(Vector valued function)
をスカラー線素(Line element scalar)で微分してみましょう。すると、以下のように、2つのベクトル値関数(Vector valued function)になります。
あまりはっきりと述べられることはありませんが、まぁ、いわゆるふつうのベクトル場の微分です。
このベクトル場では、x方向へのベクトルの変化は(2,1)、y方向へのベクトルの変化は(1,ー1)であることがわかります。
微分3
スカラー値関数(Scalar valued function)
をベクトル線素(Line element vector)で微分してみましょう。すると、1つのベクトル値関数(Vector valued function)
となります。
∇(ナブラ)を作用させることと同じです。
たとえば点(2,3)における勾配ベクトルは(7,ー1)です。これを勾配ベクトルといったりします。
微分4
ベクトル値関数(Vector valued function)
をベクトル線素(Line element vector)で微分してみましょう。すると、以下のような、ひとつのテンソル(2,1,1,ー1)が得られます。
この意味するところは難しいです。
ヤコビ行列といったりするものに相当するでしょうか。
テンソルとは何なのか?については → こちら。
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