【図解】イメージで理解する線積分: スタディヘルプ

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2021年3月18日 (木)

【図解】イメージで理解する線積分

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線積分とは2変数関数の積分です。

2変数関数は、xyz座標(三次元)に描かれた面(二次元)です。

スカラー値関数(Scalar valued function)とベクトル値関数(Vector valued function)に分類されます。

線素(Line element)にも、線素スカラー(Line element scalar)、線素ベクトル(Line element vector)があります。

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線積分は、これらの組み合わせによって、次の4つを区別できます。

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これらの線積分は、何が違うのかというと、出力される結果が違います。出力の違いに注目してまとめると以下のようになります(注1)。

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いちばん上が、いわゆるふつうの線積分です。

非常に紛らわしいのが一番下の線積分(接線線積分)です。

どちらもスカラー値(数字)を返します。

本記事では特にこの(線積分と接線線積分の)違いについて解説します。

 


まずは・・・ふつうの線積分から説明しましょう。

スカラー値関数(Scalar valued function)に対して積分します。

スカラー値関数(Scalar valued function)とは、以下のような関数です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral61.png

スカラー値関数(Scalar valued function)のイメージは、下記のような3次元空間に浮かぶ「曲面」です(数学者にはこういうグラフが漫画にみえるという話は ⇒ こちら)。

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線積分を、このようなスカラー値関数(Scalar valued function)に対して行うわけです。

たとえば、上記のスカラー値関数(Scalar valued function)と線C:y = x との線積分の結果は、以下の黄色の部分の面積になります(0≤x≤1の範囲で線積分した場合(注2))。

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青い線C:y = x と局面にはさまれている領域です。

これを式であらわすと

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です(注2)。

線Cはy=xである必要はありません。

たとえば線C:y = x2 との線積分(範囲:0≤x≤1の範囲)の答えは下図の黄色部分の面積です。

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これを式で表すと、

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です(注3)。

このように、線積分の結果(面積)は沿う線によって異なるのがふつうです。

これがふつうの線積分のイメージです。

 


では、接線線積分のイメージはどういうものでしょうか?

接線線積分は、ベクトル値関数(Vector valued function)に対して行います。

ベクトル値関数(Vector valued function)とは、たとえば

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という関数です。この関数のイメージは下図のようなベクトルの集合(ベクトル場)です。

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グラフ上のすべての点に対して2つの値が設定されているのです(スカラー値関数では1つの値)。

このベクトル場に対して、たとえば線C(y=x)にそった線積分

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を考えるのが接線線積分です。

内積の記号「・」が使われているのは、ベクトル値関数(Vector valued function)と線素ベクトルのどちらもベクトル同士だからです。

(同様に外積の記号を使えば、ベクトル値関数(Vector valued function)と線素ベクトルの(ベクトル同士の)外積の積分を考えることもできますが、この記事では扱いません)

たとえば範囲0≤x≤1の接線線積分であれば、計算式は以下のようになります。

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そのイメージは、接線ベクトル線素がその場その場のベクトルとの内積をとりながら、下図のベクトル場(上図を拡大しています)を、(0, 0)から(1, 1)に移動したときの内積の総和です(注4)。

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といわれても、ベクトル場で内積をとりながら移動する・・・このイメージはわかりにくいです。

よくみると

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral131.png

の部分は先ほどのスカラー値関数(Scalar valued function)の線積分になっており、前述した3Dイメージが可能ではないでしょうか。

ただし、スカラー線素がdsではなく、dxやdyとなっている点に注意します。

つまり・・・

スカラー線素dsを使ったふつうの線積分(注5)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral109.png

を考えると、そのイメージはスカラー値関数(2x + y)があらわす面と、線 (y = x)に挟まれた下図の黄色の部分です。

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この黄色のエリアをxz平面に投影したもの(面積)が

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です。イメージは下図の通りです(グリーンの三角形部分)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/6_20210318132001.png

これがdsに沿った線積分と、dxに沿った線積分の違いのイメージです。

同様に、線積分(注6)

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のイメージは、スカラー値関数(x - y)があらわす面と、線 (y = x)に挟まれた下図の黄色の部分です。ちょうど重なって線状になっていて面積はゼロです。

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このエリアをyz平面に投影したもの(面積)が

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral146_20210316172101.png

です。下図のグリーン部分です・・・線状でほとんどみえませんが・・・面積はゼロです。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral160.png

これがdsに沿った線積分と、dyに沿った線積分の違いのイメージです。

結局、

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とは、

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をxz平面へ、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral134.png
をyz平面に投影した両者の投影面積をたしたものです(注4)。

面白いことに、この和は、"とある曲面"に描かれた"とある線分"の始点と終点の高さの差(黒矢印の長さ)に一致します。

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この曲面はなんだ?

という声が聞こえてきそうですが、接線線積分の対象となったベクトル値関数

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を"とある方法"で積分して得られたスカラー値関数(Scalar valued function)です。

"とある"ばかりですみません。詳しくは後述します。

 

ベクトル値関数(Vector valued function)に対する接線線積分でも、積分に使う線Cは自由に選ぶことができます。

たとえば線C(y = x2)に沿った線積分は、

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です。線C(y = x2)に沿って、0≤x≤1の範囲で線積分した結果は、ベクトルとの内積をとりながら(0, 0)から(1, 1)に移動した場合の内積の総和です(注7)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/4_20210318110301.png

これも先ほどの3Dイメージで考えてみましょう。

考えるのは、

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です。特に、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral131.png

の部分は、スカラー値関数(Scalar valued function)の線積分になっています。

ただし、スカラー線素がdsではなく、dxやdyとなっている点に注意します。

まず、スカラー線素dsによるふつうの線積分(注8)

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を考えます。そのイメージは下図の通りです(黄色のエリア)。

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これをxz平面に投影したもの(面積)が

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です。イメージは下図です(グリーンの部分)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/12_20210318151701.png

これがdsに沿った線積分と、dxに沿った線積分の違いのイメージです。

次に、線積分(注9)

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を考えます。そのイメージはここ(下図の黄色部分)です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/13_20210318125501.png

これをyz平面に投影したもの(面積)が

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral148_20210316172101.png

です。そのイメージは下図のグリーン部分です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/14_20210318132201.png
これがdsに沿った線積分と、dyに沿った線積分の違いのイメージです。

したがって、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral131.png

の意味とは、

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をxz平面へ、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral134.png
をyz平面に投影した両者の面積をたしたものに相当します。

これが

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral132.png

の答えになります(注7)。

面白いことに、この計算結果は、下図の曲面に描かれた線分(黄色の線)の始点と終点の高さの差(黒矢印の長さ)に一致します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/10_20210318120501.png

この曲面は、ベクトル場

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral62.png

をある方法(注10)で積分して得られたものです。

その式は

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral61.png

です。どこかでみたことありますね?

 


~考察~

実は、

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https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral132.png

の接線線積分の結果が一致したのは偶然ではありません。

 

理論があるのです。

どういうことかというと、

ベクトル場の線積分(接線線積分)は、スカラー場の高低差になるのです。

ただし、ベクトル場(ベクトル値関数 F )とスカラー場(スカラー値関数 F )との間に

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral126.png

という関係が成り立つ場合の話です・・・

本記事の例の場合は、スカラー値関数(Scalar valued function)は

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral61.png

ですので、これに∇を作用させてみると(2変数関数の微分を∇といいます)・・・

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral128.png

となり、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral62.png

ですから、たしかに

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral127.png

が成り立っています。

 

逆に考えると、ベクトル値関数(Vector valued function)の接線線積分を計算するときに、先にベクトル値関数(Vector valued function)をスカラー値関数(Scalar vakued function)に変換してしまうことができれば、スカラー値関数(Scalar valued function)の式にxとyの値(始点の値と終点の値)を代入するだけで接線線積分の答えが得られます。

つまり、線積分とは言いながら、その計算結果は、線(経路)に依存せず、始点と終点のxとyの値だけで決まります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/15_20210318133101.png

 


 

(注1)それぞれの計算の仕方は以下のようになります。

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(注2)

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(注3)

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(注4)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral153.png

(注5)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral139.png

(注6)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral152.png

(注7)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral151.png

 

(注8)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral149.png

 

(注9)

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral155.png

(注10)

ベクトル場

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https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral121.png

と積分するとこの関数を得られます。つまり・・・

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https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral125.png

です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral127.png

このときのスカラー値関数「F」をベクトル値関数「F」のスカラーポテンシャルと言ったります。

イメージでは、これがスカラー値関数(Scalar valued function)が示すスカラーポテンシャルです。

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スカラーポテンシャルを微分して得られたベクトル値関数(Vector valued function)が示すベクトル場が下図です。

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スカラーポテンシャルとそのベクトル場を互いに重ね合わせてみると、下図のように直交します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/vector-field9.png

スカラーポテンシャルをZ軸方向からみるとスカラーポテンシャルの等高線になります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/vector-field8.png

 

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral169.png

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral173.png

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral172.png

スカラーポテンシャルを等高線だと考えると、接線線積分の答えは、横切った等高線の本数に一致します。

ベクトル場とスカラーポテンシャルの関係は、反変ベクトル共変ベクトルの関係に相当します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/vector-field9.png

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反変ベクトル場をスカラーポテンシャルを介さずに、一気に共変ベクトル場に変換すればこうなります。スカラーポテンシャルとベクトル場、共変ベクトル場の関係はこうしてみるとよくわかります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/lineintegral158.png

ベクトル場が示す方向は、スカラーポテンシャル(空間に浮かぶ曲面)のその場その場の最も急峻な方向を示していると言えます。

 

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