・・・ちょっとだけ共変微分(´~`): スタディヘルプ

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2021年1月20日 (水)

・・・ちょっとだけ共変微分(´~`)

今日、ちょっとだけ変な微分を勉強してみましょう。


次のようなベクトルvを考えます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/301_20210722224201.png
このベクトルvを偏微分すると、以下のようになります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/298_20210315185001.png

上段がベクトルvのx方向への偏微分

下段がベクトルvのy方向への偏微分

です。

基底ベクトルを使って表現すれば、次のようにもあらわせます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/25.png

まとめると・・・https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/31.png

こうなります。これが、ふつうのベクトルの偏微分です。

 

では、共変微分とはどんな微分でしょう?

共変微分を一言で言い表すと、成分(vx、vy)だけではなく、基底ベクトル(ex, ey)も一緒に偏微分する微分です。

まず、先ほどのベクトルv

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/301_20210722224201.pngを基底ベクトルを使った形になおします。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/302_20210722224201.png

これを基底も含めてまるごと偏微分します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/34.png

上段がベクトルvのx方向への偏微分、下段がベクトルvのy方向への偏微分です。

先ほどのふつうの偏微分と違うのは、

よ~くみると、連鎖律(合成関数の微分)によって成分だけではなく基底ベクトル(ex, ey)も偏微分している点です。

これが共変微分です。

結果だけを書くと・・・

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/40.png

こうなります。上段がベクトルvのx方向への偏微分、下段がベクトルvのy方向への偏微分です。

実質的には、これで共変微分は完了です。式を整理して次を得ます。https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/200.png

おわり!!!

・・・といいたいところですが、専門家は、ここからがすごいんです。

このままでは、式の後半に「∂ex」と「∂ey」という基底ベクトルの偏微分が存在しますよね?

基底ベクトル(ex, ey)を含めて偏微分したのであたりまえなんですが、なんと、専門家は魔法のような技を使ってこの「∂ex」と「∂ey」を消してしまいます。

なんでそんなことをするのかというと、最終的に以下のような形にしたいからです(「∂ex」や「∂ey」があるとこうできません)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/294.png
∂ex」や「∂ey」を消してしまう魔法の式は以下のとおりです。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/27.png

なんだか見慣れない人もいるかもしれませんが Γ をクリストッフェル記号と言います(ただの数字(係数)だと思ってください(注1))。

この魔法の式を代入後、式を整理すると以下を得ます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/19.png

かえってわかりにくくなった・・・と感じる人もいるかもしれませんが、完全に基底ベクトル(ex, ey)の「和」の形になっています。見事です。このメリットは計り知れません。

カッコの中身は全部同じ形なので、下記のように書き変えるのが流儀です(共変微分としてよく教科書に紹介されている式はここですね)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/21.png
最終的に、ベクトルの共変微分は次のようにあらわされます。これで正真正銘、目的達成です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/9.png

雑談:

共変微分は共変ベクトル covariant vector の微分というわけではないんですね。はじめてきいたときには管理人も含め、共変ベクトルと関係ある微分?と思ってしまう初学者がずいぶんいると思います。基底(ex, ey )も共に偏微分するので共変微分 covariant derivative と言うみたいです。であれば共偏微分と言ってくれた方が素人的にはわかりやすい気もします。


(注1)

クリストッフェル記号(Γ)の値は計量テンソルgから求めます。gxxは計量テンソルの第一成分、gxyは第二成分、gyxは第三成分、gyyは第四成分です。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/54.png

計量テンソルには添字が上付きのモノと下つきのものがあります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/55.png

計量テンソルからクリストッフェル記号(Γ)の値を求める式を記しておきます。二次元では8つあります。超めんどくさそうにみえますが、計量テンソルgの値さえわかればすべての値を一発で計算できます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/53.png

ためしに、極座標におけるクリストッフェル記号(Γ)の値をひとつだけ計算してみましょう。極座標の計量テンソル(第一成分、第二成分、第三成分、第四成分)は以下の通りです。ただし、極座標ですから(x,y)を(r,θ)に書き換えています。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/194.png

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/61.png

この計量テンソルの情報から次のようなことがわかります。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/62.png

これらの情報を利用して、クリストッフェル記号(Γ)の値を計算します。ここでは一つだけ計算しますが、他の記号も簡単に計算できます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/67.png

 

(補足)

直交座標や斜交座標のように座標軸が直線の場合、座標全体を通して基底に変化が生じません。したがって基底の偏微分「∂e」は必ずゼロ(Γ = 0)になり消失します(下記)。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/25.png

したがって、共変微分の結果はふつうの偏微分の結果に一致します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/31.png

ところが、極座標のような場合、基底ベクトルの微分がゼロ(Γ = 0)になりません。

つまり、極座標ベクトルhttps://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/41.png

を共変微分すると、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/195_20210125234101.png

とはならないのです。

実際に極座標ベクトルの共変微分を計算してみましょう。ベクトルをr方向とθ方向に偏微分します。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/42.png次の式を得ます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/43.png

基底の偏微分をクリストッフェル記号(Γ)で置き換えます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/44.png次の式を得ます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/312.png

目的のベクトルは次のように表されます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/48.png

ただし、真ん中の行列の成分は以下の公式から求めます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/311.png

クリストッフェル記号(Γ)を計算し、以下を得ます。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/50.png

このように、クリストッフェル記号(Γ)にゼロ以外の値がはいるため、極座標の共変微分は

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/195_20210125234101.pngにはなりません。


自分用メモ

正規直交座標ベクトル(A,B)を極座標基底であらわすと以下のようになる。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/313.pngこのベクトルを極座標に沿って共変微分してみる。

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/314.pngより、結果は、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/317.pngまたは、

https://remedics.air-nifty.com/photos/uncategorized/316.png

である。

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