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酸化還元反応とは? 酸化・還元・酸・アルカリ・塩基・ベース

水素イオンと水素の違い

水素イオン=「H+」=プロトン(陽子)1個、電子0個。

水素分子=「H2」=水素ガス。プロトン(陽子)2個、電子2個の組み合わせ。

水素原子=「H」=活性水素 。プロトン(陽子)1個、電子1個の組み合わせ。

 

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A. 酸化とは:3つの定義あり

1.電子を失うこと

自分の電子eを奪われる = 自分は酸化される(相手を還元する)。

相手の電子eを奪う = 相手を酸化する(自分は還元される)。

 

2. 酸素を受け取ること

相手から酸素を受けとる = 自分は酸化される(相手を還元する)。

相手に酸素を与える = 相手を酸化する(自分は還元される)。

 

3. 水素原子(電子1個+プロトン)を失うこと

水素原子(H)を奪われる = 自分は酸化される(相手を還元する)。

水素原子(H)を奪う = 相手を酸化する(自分は還元される)。

 

※還元とは?還元にも3つの定義がある。

相手に電子eを与え、相手を還元すること(自分は酸化される)。

相手から酸素を奪い、相手を還元すること(自分は酸化される)。

相手に水素原子(H)を与え、相手を還元すること(自分は酸化される)。

ちなみに、水素原子(H)は水素イオン(H+ )とは異なります。

水素イオン(H+ )には電子e は含まれていません。

水素原子(H)には電子e が1つ含まれています。

水素原子(H)を失えば電子電子e も失うことになります。

 

B. 酸性とは

プロトン(=水素イオンH+)が多い状態です。水素分子、水素原子(H)がいくら多くても酸性にはなりません。

 

C. 酸とは:3つの定義あり

1. 水に溶かすと、プロトン(=水素イオンH+)を生じる分子

プロトン(水素イオンH+)とは、電子をまったく持たない丸裸の陽子のことです。

 

2. 他の分子に対して、プロトン(=水素イオンH+)を差し出す分子:プロトンドナー

電子をもたない陽子(プロトン)を差し出す分子は酸です。

 

3. 他の分子がもつエレクトロンペア(電子対)を受け入れる物質:エレクトロンペア(電子対)アクセプター

上記のプロトン(水素イオンH+)は、エレクトロンペア(電子対)アクセプターの代表です。

エレクトロンペア(電子対)を差し出す分子エレクトロンペア(電子対)ドナーは塩基(ベース、アルカリ)です。

エレクトロンペア(電子対)アクセプターが受け入れるのは電子対(ペア)です。電子eではありません。

酸は、他のアルカリ(塩基、ベース)が持つ電子対(ペア)を受け入れ、共有結合をつくります。

酸とは、塩基(ベース、アルカリ)の一番外側の電子ペアを共有させてもらう分子です。

塩基(ベース、アルカリ)は電子eを失う(酸化される)わけではありません。塩基はしっかりと電子対を軌道上に保持したまま、酸に対して電子ペアを供給します。

電子ペアを一つも持たないプロトン(水素イオンH+)は最強の酸です。

電子ペアではなく、ある分子が電子e1コを軌道から失えば、それは「酸化」とよばれます。

 

「錆びる」(酸化)とは、電子を失うこと

酸化還元反応とは、ある分子が軌道上の電子を失ったり、獲得したりする反応のことです。

一方、酸アルカリ反応では、塩基の一番外側の電子軌道上の電子ペアが酸と共有されたりされなかったりするだけで、電子の喪失や獲得はありません。

酸素は「電子ドロボー」なので、酸素と反応すると相手の電子がうばわれます。これが典型的な酸化です。

酸素と反応しなくても、水素原子(電子1コを含む)を失えば、広義の酸化になります。

水素原子は電子のキャリアーです。

 

 

酸化力とは?

酸化力とは「電子を奪う力」です。

たとえば、塩酸の酸化力は?

塩酸には酸化力はありません。

塩酸の電子は足りているのです。

Cl-(陰イオン)は安定し、H+(水素イオン)も安定しています。全く電子を欲しがりません。

 

では、次亜塩素酸の酸化力は?

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一見、塩酸や水と同じように、電子は足りているように見えます。

しかし、違うんです。

次亜塩素酸の塩素は酸素に電子を奪われ、Cl+ になってます。このCl+が超やばいんですΣ(゚д゚;)

電子を欲しがる状態=酸化力が高い状態です。

もともと、塩素(Cl)っていうのは、Cl-(陰イオン)になりたがります。

そのため、周囲の物質から電子を奪いとる力が強い・・・

その電子を奪う力がさらに強くなったのが Cl+(陽イオン)です。

Cl+(陽イオン)は極悪な「電子ドロボー」と考えていいです!

Cl-(陰イオン)なるために周囲からどんどん電子を奪います。

そのCl+を含む次亜塩素酸(HClO)が酸性溶液に浸されると・・・

H+によって「電子ドロボー」Cl+ イオンが追い出され、遊離します。

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自由になったCl+イオンは、周りのものから次々と電子を奪い、塩素になります。ガスになって液体から遊離、揮発していきます。

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このように、周りの物質から電子を引き抜く反応を「酸化」といいます。

電子を引き抜く力を酸化力といいます。

次亜塩素酸の酸化力はCl+イオンのせいで非常に強力です。

Cl+イオンによって酸化された細胞は傷害されます。

これが、次亜塩素酸による殺菌作用の本質です。

 

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