合同式のもとになる考え方
10を7で割った余りは3
8を7で割った余りは1
である。
これを合同式で書くと・・・
10 ≡ 3 (mod7)
8 ≡ 1 (mod7)
である。
調べると、不思議なことに、
10と8の和(10+8)を7で割った余りは、余りの和(3+1)を7で割った余りに等しい。
10と8の差(10-2)を7で割った余りは、余りの差(3-1)を7で割った余りに等しい。
10と8の積(10x8)を7で割った余りは、余りの積(3x1)を7で割った余りに等しい。
これを合同式で書くと、
10+8 ≡ 3+1 (mod7)
10-8 ≡ 3-1 (mod7)
10・8 ≡ 3・1 (mod7)
である。
10 ≡ 3 (mod7)
8 ≡ 1 (mod7)
と比べてみると不思議さがわかる。
一般化すると、
あるふたつの数の和や差、積を、7で割った余りは、
もとの数を7で割った余りの和や差、積を、7で割った余りに等しくなる。
割る数(modの数)は7でなくとも構わない。
これが一般に成り立つ。
さらに、
10のn乗を7で割った余りは、3(10を7で割った余り)のn乗を7で割った余りに等しい。
8のn乗を7で割った余りは、1(8を7で割った余り)のn乗を7で割った余りに等しい。
ということもわかっている。
これを合同式で書くと、
10n ≡ 3n (mod7)
8n ≡ 1n (mod7)
である。
10 ≡ 3 (mod7)
8 ≡ 1 (mod7)
と比べてみると不思議さがわかる。
一般化すると、
割られる数のn乗を7で割った余りは、割られる数を7で割った余りのn乗を7で割った余りに等しい。
乗数 n は何でもよく、割る数(modの数)も7でなくとも構わない。
さらに、
10の7乗を7で割った余りは、10を7で割った余りに等しく、
8の7乗を7で割った余りは、8を7で割った余りに等しい。
これを合同式で書くと
107 ≡ 10 ≡ 3 (mod7)
87 ≡ 8 ≡ 1 (mod7)
である。
10 ≡ 3 (mod7)
8 ≡ 1 (mod7)
と比べてみると不思議さがわかる。
一般化すると
割られる数のn乗をnで割った余りは、割られる数をnで割った余りに等しい。
この場合、割る数 n (modの数)は乗数 n と一致していなければならない。
驚くのは、次の法則だ。なんと
10の(7-1)乗を7で割った余りは、必ず1
8の(7-1)乗を7で割った余りは、必ず1
になる。
これを合同式で書くと
107-1 = 106 ≡ 1 (mod7)(∵10と7は互いに素)
87-1 = 86 ≡ 1 (mod7)(∵8と7は互いに素)
である。
一般化すると、
割られる数のn-1乗を、割る数n(modの数)で割った余りは必ず1になる。
これを「フェルマーの小定理」という。
ただし、これにはちょっと条件があり、割る数 n (modの数)は必ず素数でなければならない。しかも割る数 n と、割られる数は互いに素でなければならない(約数を共有しない)。
こういう考え方が合同式のもとになっている。
ちなみに、上記例をすべて合同式で書けば、下記のようになる。
10 ≡ 3 (mod7)
8 ≡ 1 (mod7)
10+8 ≡ 3+1 (mod7)
10-8 ≡ 3-1 (mod7)
10・8 ≡ 3・1 (mod7)
10+ n ≡ 3+ n (mod7)
10ー n ≡ 3ー n (mod7)
10・ n ≡ 3・ n (mod7)
10n ≡ 3n (mod7)
8n ≡ 1n (mod7)
107 ≡ 10 ≡ 3≡ 37 (mod7)
87 ≡ 8 ≡ 1 ≡ 17 (mod7)
107-1 ≡ 106 ≡ 1 (mod7)(∵10と7は互いに素、かつ、7は素数)
87-1 ≡ 86 ≡ 1 (mod7)(∵8と7は互いに素、かつ、7は素数)
結局、
10と3など7の倍数だけ異なる数字の間で、以下の式
10+ n ≡ 3+ n (mod7)
10ー n ≡ 3ー n (mod7)
10・ n ≡ 3・ n (mod7)
10n ≡ 3n (mod7)
などがnにかかわらず成立するということは、合同式(≡)の加法、減法、乗法は、
等式(=)の加法、減法、乗法と同様に扱えることを意味している。
たとえば・・・
2x3ー3x2+x+3
のような多項式関数があたえられたとき、
たとえば10異なる数、17と7などを用意すれば、
173 ≡73 (mod 10)
172 ≡72 (mod 10)
171 ≡71 (mod 10)
170 ≡170 (mod 10)
なのであるから、xに17を代入したときと7を代入したとき、それぞれの答えを10で割った余りは同じ
である。すなわち、
2(17)3ー3(17)2+(17)+3 ≡ 2(7)3ー3(7)2+(7)+3 (mod10)
が成り立つ。
mod7で考えれば、
xに7異なる数、たとえば10を代入したときと3を代入したとき、それぞれの答えを7で割った余りは同じ
である。
すなわち、
2(10)3ー3(10)2+(10)+3 ≡ 2(3)3ー3(3)2+(3)+3 (mod7)
が成り立つ。
なぜなら
103 ≡33 (mod7)
102 ≡32 (mod7)
101 ≡31 (mod7)
100 ≡30 (mod7)
であるからだ。
2x3ー3x2+x+3
に3を代入した時、7で割ったあまりは?
このとき、3のかわりに10を代入してよく、するとカンタンなのだ。
2000ー300+10+3=1713 ≡ 5(mod7)
ゆえに、5だ。
別に10と3でなくとも、7異なる数であれば、8と1でもよい。
8 ≡ 1 (mod7)
なのだから。
すなわち、
2(8)3ー3(8)2+(8)+3 ≡ 2(1)3ー3(1)2+(1)+3 (mod7)
が成り立つ。
2x3ー3x2+x+3
に8を代入した時、7で割ったあまりは?
このとき、8のかわりに1を代入してよく、するとカンタンなのだ。
2-3+1+3 ≡ 3(mod7)
ゆえに、3だ。
また、加法、減法に関しては、等式(=)と同様に移項することができる。
たとえば
10+ n ≡ 4 (mod7)
ならば
10 ≡ 4ー n (mod7)
が成り立つ。
ここまで読んだ読者は、
商に関してどうなっているのか?
と思うのではないだろうか。
実は、
10・ n ≡ 3・ n (mod7)
が成り立つからと言って、
10/n ≡ 3/ n (mod7)
は、一般には成り立たない。
ただし、ある条件がそろうと成りたつ。
その条件とは、
両辺(上記例では10や3)が、nでぴったり割り切れること。
さらに、割る数nはmodの数(上記例では7)と互いに素であること。
つまり、
10/5 ≡ 45/ 5 (mod7)
は成り立つ。
なぜなら、
10/5 も 45/ 5
も答えは整数であり
7と5は互いに素であるからだ。
もちろん
割る前の合同式、上記例では
10 ≡ 3 (mod7)
10 ≡ 45 (mod7)
が成り立つことは絶対条件である。
例題
13100 を9で割った余りは?
13100
≡ 4100 (mod9)
≡ 44 496 (mod9)
≡ 44(48 )12 (mod9)
≡ 44(49-1 )12 (mod9)
≡ 44(1)12 (mod9)
≡ 256 (1) (mod9)
≡ 256 (mod9)
≡ 4 (mod9)
答 4
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